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【福島民報】 【身近な公共交通】地域で守る網を描く

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 鉄道の災害復旧への支援を手厚くする鉄道軌道整備法の改正案は、今月に召集予定の臨時国会に提出される見込みだ。改正法が成立すれば、JR只見線の復旧に当たって県と市町村の負担が軽くなる。
 国鉄の分割民営化によるJR各社の発足から30年が過ぎた。路線を引き継いだ第3セクター方式の鉄道を含め、多くの地方の鉄道やバスは利用者の減少に直面する。市町村の公共交通網の新しい計画作りが始まったが、単独の市町村だけでは解決が難しい問題もある。只見線や常磐線の再生の機会を捉え、一定の地域ごとに公共交通網の将来像を描く必要がある。
 只見線の会津川口-只見駅間(27・6キロ)の鉄道復旧は「上下分離方式」で進められる。県とJR東日本は8月29日、工事に向けた協定を結んだ。県が復旧後の鉄道施設の所有者となり、管理をJRに委託する。JRは施設の貸与を受け、列車を運行する。復旧費約81億円のうち、3分の2の約54億円を県と会津地方の市町村、残りの約27億円をJRが出す。この枠組みに改正法案を当てはめると、地元負担の半減を期待できる、という。
 毎年度の維持管理費は約2億1000万円が予測され、県と市町村は負担割合を定めて工面する。将来、維持管理費が増えたり、新たな出費が生じたりする可能性がある。安定した収入を見通せる財源や、不測の事態を見越した積み立てなどの備えが大切となる。沿線の只見川には多くの水力発電所がある。電源関係の交付金や税の使い道の拡大を検討材料の一つとするべきだ。
 第3セクターの阿武隈急行(阿武隈急行線)、会津鉄道(会津線)、野岩鉄道(会津鬼怒川線)は経営健全化計画などに沿った努力を重ねている。ただ、今後、会社によっては施設や設備を更新したり、赤字が続いたりする際に、県や市町村からの支援の在り方が重要になる。
 地方の生活路線バスを運行する乗り合いバス事業者も、行政から補助金を受けているが、乗務員の確保や、利用者の要望に応える路線の維持と再編といった懸案を抱える。
 県内の9市町村は今年6月までに公共交通網形成計画を作り、検討中の市町村もある。東京電力福島第一原発事故の避難区域が設けられた市町村を主な対象とする広域計画は今年度中にまとまり、他地域の参考にもなるはずだ。複数の交通機関を乗り継ぐ路線とダイヤと運賃の調整や、人も荷物も運ぶ「貨客混載」などの新しいサービスを試みてほしい。(安田信二)

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