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【中国新聞】 待機児童2万6千人 解消へ財源の議論急げ

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 保育所に入れない待機児童をゼロにするという政府の目標がまた一歩遠のいたことを、重く受け止めなくてはならない。今年4月の待機児童は2万6081人で、3年連続で増えたと厚生労働省が明らかにした。
 一定の施設整備は進んでいるものの、保育ニーズの高まりには追い付いていない。国の調査では「生活が苦しい」と答える子育て世代は、6割を超す。切実な理由で共働きを希望する保護者は少なくない。子育てしながら働ける環境を早急につくる必要がある。
 中国地方は鳥取県を除く4県の13市町で計1453人を数えた。データを取り始めて最多という。岡山市が849人で突出して多く、倉敷市186人、広島市93人と続く。東広島市は昨年はゼロだったが、今年は広島市と同じ93人に膨らんだ。
 岡山市は、独自の基準を導入したため急増した。自宅近くに空きがあっても、希望した3カ所に入れなければ待機児童とみなすという。保護者の希望に寄り添った基準といえ、実態に近い数字を正直に出した点では評価できる。
 岡山市以外の自治体も、子どもを預けて働きたいというニーズがどれだけあるのか、正確に把握する方法を検討してはどうだろう。特定の施設を希望しているなどの理由で待機児童の集計から外されている「隠れ待機児童」は、国が把握しているだけで約7万人に上るからだ。
 隠れたニーズの大きさを思うと、国や自治体の取り組みは何とも手ぬるい。実際、安倍政権は「2017年度末までに待機児童ゼロ」という目標を、今年5月に事実上断念して、3年も先送りしたばかりである。
 6月に打ち出した新たな「子育て安心プラン」では、22年度末までの5年間で32万人分の保育の受け皿を整備するとうたう。切り札として掲げるのが、幼稚園での2歳児の受け入れ促進や企業の従業員向けの保育所増設である。それぞれ前に進めてもらいたいが、どんな形であれ保育の受け皿を増やすには、財源の確保が必要である。
 17年度の保育所などの運営費は約1兆5千億円で、5年間でほぼ2倍に膨らんだ。今後さらに増えるのは間違いない。
 厚労省は新しいプランに基づき18年度に9万人分の受け皿を増やそうと、18年度政府予算の概算要求をしている。だが、新たに必要となる保育所などの運営費500億円は、財源確保のめどが立っていない。このままでは、政府にやる気があるのか、疑われても仕方ない。
 現場からは、保育所を増やそうにも保育士を確保できない、という悲痛な声も上がっている。国は本年度から保育士の月給を6千円、ベテランは4万円アップさせるようだが、さらなる待遇改善が求められる。
 政府は教育無償化を「人づくり革命」の柱に据えている。保育の無償化も候補に挙がっており、幼児教育と合わせると1兆円以上が必要だ。しかし、これも概算要求では金額を示さない「事項要求」にとどまり、実現の見通しは立っていない。
 新たな財源として、自民党の小泉進次郎衆院議員らが唱える「こども保険」や消費税増税などが必要かどうか。子育て世代の不安解消のため、具体的な財源について議論を急ぎたい。

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