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【西日本新聞】 豪雨と河川 「流域全体」で洪水対策を

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 多発する集中豪雨に対し、どんな洪水対策が必要か。過去の検証を踏まえて適切に対応したい。
 九州豪雨からきょうで2カ月が過ぎた。忘れてはならないのは、九州一の大河である筑後川や、北九州市の中心部を流れる紫川が氾濫する恐れがあったことだ。
 いずれも見る見るうちに増水し、流域の各地に避難の指示や勧告が出された。幸い大きな被害は報告されていないが、もし氾濫していれば九州豪雨の被害はさらに甚大な規模になっていただろう。
 7月5日夜、筑後川では片ノ瀬水位観測所(福岡県久留米市田主丸町)で観測史上最高水位の10・36メートルを記録し氾濫危険水位を2メートル近く超えた。紫川の桜橋水位観測所(小倉南区徳力)では7日午前、同水位まで約50センチに迫った。
 最近の雨の降り方は明らかに以前とは違う。九州・山口では「非常に激しい雨」(1時間50ミリ以上80ミリ未満)の降る回数が1980年代の約1・4倍に増えた。地球温暖化の影響とみられ、将来さらに大雨が増えると予測される。
 筑後川など全国の1級河川で堤防が必要な箇所の総延長は約1万3400キロに及ぶが、整備が済んだのは66%にとどまっている。残りも数十年単位の事業である。
 堤防があっても、氾濫する可能性は消えない。実際に5年前の九州北部豪雨では福岡県柳川市で矢部川の堤防が決壊した。
 これまでの洪水対策は雨を川に集め、安全に海へ流すという発想だった。それだけでは不十分だ。流域全体で膨大な雨水を総合的にコントロールする必要がある。
 既に広域の田んぼをダムに見立て貯水する対策が全国で進んでいる。河川の氾濫を経験した福岡市など都市部では、巨大な地下貯水施設も整備されている。同時に避難計画などソフト面の対策も充実させていく必要があるだろう。
 全国には1級河川だけで支流を含め約1万4千あり、国土の多くは河川流域にあるといえる。今回の九州豪雨では、筑後川の複数の支流が流木と土砂を運び被害を拡大した。ぜひ教訓としたい。

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