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【西日本新聞】 学力テスト 教育効果を検証すべきだ

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 文部科学省が全ての小学6年と中学3年を対象に実施した全国学力テストの結果を公表した。今回は10回目という節目である。
 全国平均と下位県の成績の差は縮まる傾向が続き、文科省は「学力の底上げが定着した」と分析する。全般的にやや低調な九州7県でも、正答率が全国平均を上回る科目が前回より増えた。
 とはいえ、調査結果の傾向は総じて例年と変わらない。基礎知識に比べ、依然として応用力に課題がある。正答率の上位には、今年も秋田や福井などの“常連県”が並んだ。「学習指導の改善にどこまで役立っているのか」という疑問が出るのは当然だろう。
 文科省は過去10回のテストの教育効果を総合的に分析し、実施方法や内容を再考する時期を迎えたと考えるべきではないか。
 回を重ねたことで、学力や学習状況の実態と課題は、一定程度把握できたという声がある。
 例えば、家庭の経済力が学力差を生む一因だと分かってきた。これまでのテストで浮かび上がった解決課題を整理し、具体的な改善策に取り組むことにこそ力を入れる必要があろう。
 テストの実施には毎年約50億円もかかる。文科省は費用対効果を精査し、抽出方式や隔年実施への移行も検討すべきである。
 文科省は今回、小数点以下を四捨五入した整数値で都道府県別の正答率を示した。序列化を防ぐためだが、教育現場には「競争からは逃れられない」との声がある。
 過去問題を子どもに解かせるような学力テスト対策の授業も広く行われているという。授業の改善という目的からすれば、本末転倒の状況と言わざるを得ない。
 2020年度から実施が始まる次期学習指導要領で、学校の授業は知識を蓄積するだけでなく、主体的な学びで思考力や表現力を養う方向へ大きく転換する。
 小中高の12年間を通して、新しい教育が育む学力を点検し、学習指導の改善に役立てる-。そんな視点に立った学力テストの抜本的な見直しを文科省に求めたい。

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