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【高知新聞】 【クロマグロ規制】日本は国際責任果たせ

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 国際的な絶滅危惧種に指定されている太平洋クロマグロの新たな漁獲規制が、国際機関の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の北小委員会でまとまった。
 親魚の増加確率が60%を下回れば現行の漁獲枠をさらに減らす一方、75%を超えれば枠拡大を検討できる―という新ルールだ。制限一辺倒ではなく、資源管理の成果を漁獲増に反映させる考え方だ。
 この仕組みはクロマグロの最大消費国である日本が提案した。国内のマグロ漁対策の色合いも濃く、規制強化を迫る米国などからはなお厳しい目が向けられる。
 マグロ資源管理をリードすべき日本はまず率先してルール厳守を国際社会に示さなければならない。
 太平洋クロマグロはホンマグロとも呼ばれ、日本では高級すしネタなどとして人気が高く、乱獲されてきた。親魚の資源量は1961年の約16万トンから2014年は約10分の1の約1万7千トンに激減し、資源枯渇の懸念が強まっている。
 WCPFCは15年、資源量を24年までに約4万1千トンへ回復させる目標を掲げ、各国で30キロ未満の小型魚の漁獲量を02~04年平均の半分以下にする規制を始めた。だが、米国などからより高い目標設定を求める声が強まり、昨年から見直しの検討に入った。
 議論は、資源規制と漁業への打撃緩和の両立に腐心する日本と、環境保護団体の意向を受ける米国などとの攻防になった。新ルールの合意に至る過程でも、日本は漁獲枠の拡大条件として親魚の増加確率を「65%超」と当初提案したが、賛同はなく、より厳しく修正された。
 親魚の量を34年までに14年の7倍超の約13万トンに回復させるという新たな長期目標なども設定された。これは日本が各国の要請に歩み寄った形だ。
 新ルール作りを主導した日本は持続可能なマグロ漁の再生へ、国際社会で果たすべき責任が一層増す。だが、その足元の国内で現行の小型マグロの漁獲規制が守られていない現実はいただけない。
 引き縄やさお釣りの沿岸漁業での上限超えが本県を含む各地で相次ぎ、水産庁の自粛要請も歯止めになっていない。魚影が濃くなっているなどの事情があるとはいえ、国際的約束の中では通じまい。
 政府は来年にも罰則規定を盛り込んだ法的な漁獲制限に踏み込む方針だが、沿岸漁業で生計を立てる漁師側は資源を一網打尽にする巻き網漁などへの規制強化を訴える。漁師らの理解をどう深め、地域の漁業を守っていくか。規制と支援の兼ね合いも問われよう。
 欧州などでは漁獲規制を厳格に守り抜き、資源回復と漁業活性化に成功した事例がある。政府はマグロに関わる事業者、さらに消費者らも巻き込んだ地域ぐるみの取り組みへと広げていく視点が欠かせない。その成否は本県が直面するカツオ資源対策にもつながってこよう。

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