Home > 社説 > 地方紙 > 北海道・東北地方 > 陸奥新報(青森県) > 【陸奥新報】 避難所の運営「人ごとと考えず理解深めたい」
E080-MUTSU

【陸奥新報】 避難所の運営「人ごとと考えず理解深めたい」

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 
 災害時に被災者が身を寄せる避難所の在り方に理解を深めてもらう動きが、県内でも見られている。平川市は先日、自主防災組織の関係者らを対象に、避難所の設置・運営について学んでもらう訓練を初めて行い、参加者たちが段ボールを使って間仕切りを作るなどした。
 同市は今年4月に「市避難所運営マニュアル」を策定し、ホームページで公開しており、自主防災組織の関係者だけでなく、避難者にも役割を持って運営に携わる意識を持ってもらいたい―などと訴えている。
 近年、地震や集中豪雨といった大きな災害がしばしば発生していることを踏まえると、われわれにとって避難所は「縁遠いもの」とは言えなくなっている。利用しなければならない可能性もあると考えれば、設置や運営についてもっと関心を持って学ぶべきだろう。
 内閣府が2016年4月の熊本地震直前にまとめた「避難所運営ガイドライン」の冒頭には、被災者の健康を維持するために「避難所の質の向上」を目指す―とある。災害の規模が大きく、避難生活が長くなるほど、避難者の心身の負担は大きくなり、生活上のさまざまな問題も増える。ガイドラインは、これらをできるだけ軽減、防止し、「人間らしい生活」を送ってもらうためのものという。
 避難所の在り方をめぐっては東日本大震災の際、障害者や高齢者といった援護が必要な人たちだけでなく、男女双方のニーズにも対応し切れていないことなどが問題となり、避難所運営の難しさが浮き彫りになった。
 東日本大震災以降、関係団体や専門家は改善策を検討したり、提言したりしている。しかし、それらを自治体関係者ら一部の人が認識しているだけでは避難所の質は向上しない。平川市が自主防災組織の関係者らを対象に訓練を行ったのも、そのためだろう。
 同市の訓練会場では、避難所の運営をシミュレーションするカードゲームを用い、参加者がトラブルへの対応について話し合った。ゲームは、危機管理を担当した元自治体職員が考案したもので、県外でも災害対策教育の場で使われているようだ。実際の避難所運営はより複雑であろうが、関心を持ってもらうきっかけとして、このようなゲームも活用されてよいのではないか。
 同市付近には断層帯があり、1700年代半ばに直下型地震が発生しているとして、市は市民らに有事への備えを促している。熊本地震も断層活動による直下型地震とされていることを踏まえれば、日ごろから備えはしておくべきだろう。
 今回の訓練で、参加者は間仕切りを作るのに苦労したという。作業一つをとっても容易でないとすれば、避難所の運営はさらに難しいはずだ。人ごととは考えず、できるだけ理解を深めたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。