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【秋田魁新報】 クマ目撃件数最多 警戒緩めず行動慎重に

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 県内で今年、クマの目撃件数がこれまでにないペースで増えている。県警への届け出は8月末現在で964件に上り、過去最多だった昨年1年間の872件を既に上回った。人身被害は今月4日現在で死者1人、負傷者は10人を数える。
 間もなくキノコ採りや秋の観光シーズンに入るだけに、入山する際などは細心の注意が必要だ。県警や自治体も一層警戒を強め、被害防止のための啓発活動に力を入れてほしい。
 県警によると、今年は3月に国際教養大(秋田市雄和)の構内で目撃されたのを皮切りに、目撃件数はその後急増。クマが活発に動き回る7月は319件と前年同期(217件)の1・5倍に達したほか、8月も72件増の220件となっている。
 5月には、仙北市の山林でタケノコ採りをしていた女性がクマに襲われて死亡。その後も人身被害が相次いだほか、住宅地の近くからも連日のように目撃情報が寄せられている。
 一昨年はブナの実が豊作だったため、県は昨春に子グマが例年より多く生まれたと推測。その子グマが今年7月までに親離れし、餌を得やすい里山周辺にとどまっているのが目撃件数の増加につながっているとみる。
 異常ともいえるクマの出没は、県内各地にさまざまな影響を及ぼしている。北秋田市脇神の国指定史跡・伊勢堂岱遺跡には四つの環状列石があり、多くの人が訪れる。だが6月にクマが目撃されて以来、遺跡を公開できない状況が続いている。
 7月には遺跡近くで市教育委員会の職員がクマに襲われて負傷した。市は検討会で対応を協議し、ガイダンス施設「縄文館」を除き年度内は公開しないことを決めた。遺跡の周囲は山林のため、クマが近寄らないように立ち木を伐採して緩衝地帯を設ける。公開中止は残念だが、観光客の安全確保のためにはやむを得ない措置だろう。
 鹿角市の国特別史跡・大湯環状列石の近くの林でも7月にクマが目撃されたため、遺跡への立ち入りが禁止された。いずれの遺跡も地域を代表する観光スポットであり、今後への影響が懸念される。
 秋田市金足の小泉潟公園は、2013~16年の4年間で1件だけだった目撃件数が今年は13件と大幅に増えた。管理する県はクマの目撃情報が寄せられるたびに園内の一部閉鎖を余儀なくされており、現在も全面開放のめどは立っていない。
 目撃情報が相次いでいる状況を踏まえ、県は8月末で終了する予定だったクマ出没警報の発令を2カ月間延長し、10月末までとした。今秋のブナの実は凶作が見込まれていることから、県は「キノコ採りや登山などで入山した場合、餌を求めて歩き回るクマと遭遇するリスクは高まる」と話す。人身被害が起きた場所に近寄らないのはもちろん、油断せずに慎重に行動することを心掛けたい。

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