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【デーリー東北新聞】 臍帯血移植 高額な自由医療を疑え

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 胎児と母親を結ぶへその緒の臍帯血(さいたいけつ)には造血幹細胞が含まれ、白血病などの治療に使われる。期待される再生医療の材料だ。その臍帯血を無届けで投与していたとして医師ら6人が再生医療安全性確保法違反の疑いで愛媛などの4府県警の合同捜査本部に逮捕された。
 2014年に施行された同法違反容疑の立件は初めて。事件の根は深い。根拠が弱いまま横行する高額な自由診療の闇を解明するよう求めたい。
 日赤などの公的バンクは無償で寄付された臍帯血を凍結保存し、第三者の患者に移植している。1999年に始まり、症例も1万例を超えた。
 これに対し、民間バンクも同じ頃登場した。赤ちゃん本人と家族のために臍帯血を利用しようとするもので、目的が公的バンクとは異なる。
 20万円前後の有償で凍結保存し、必要な時に解凍して使う仕組みだ。将来の病気に備えようとするビジネスだが、実際に移植したのはごくまれで、必要性に疑問は残る。
 今回の事件は、2009年に経営破綻した茨城県の民間バンク「つくばブレーンズ」から臍帯血を譲り受けた業者を介して流出した。このルートで臍帯血移植を受けた患者は約30都府県で三百数十人に上り、3割は中国人ら外国人という。
 費用は1回300万〜400万円。大半が法で届け出が義務付けられた美容目的やがん治療だった。健康被害は確認されていないが、臍帯血を流用した異様な事件である。
 国に認められた公的バンクと違って民間バンクは野放しで、事件の温床になった。
 再生医療は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)、体内にある幹細胞を使う三つに大別される。このうち、体の幹細胞による再生医療が臨床応用に最も近い。臍帯血は体の幹細胞の一種で、期待に便乗して、根拠のない治療にまで広がりつつある様子が透けて見える。
 iPS細胞も含め再生医療はまだ開発の初期で、臨床試験で安全性などを探っていかねばならない。営利目的を排し、倫理審査の手順を踏んで着実に進めるべきである。
 細胞移植は難しい。広く普及するまで何十年もかかるだろう。過大な期待は禁物で、自由診療で提供される医療の根拠を疑って調べ、安易な受診を控えてほしい。一方、医療から見放されてわらにもすがる思いの“がん難民”を出さないようにする配慮も欠かせない。
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