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【西日本新聞】 概算要求 政策効果と優先度精査を

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 国の来年度予算の概算要求が締め切られた。各省庁の要求総額は101兆円規模に膨らみ、4年連続で100兆円の大台を超えた。
 安倍晋三政権が重視する人材への投資や働き方改革に関連した事業が目立つが、要求額は税収の倍近い。国債発行に依存するのは無責任である。借金が1千兆円を超す危機的状況を直視し、政策効果と優先度の精査が不可欠だ。成長だけでなく、財政健全化を進める予算に仕上げねばならない。
 それにしても各省庁の財政状況への危機意識は薄い。ここ数年、財政難などお構いなしの要求が続く。かつての厳格な要求上限の復活も検討すべきではないか。
 要求額が一番多いのは厚生労働省だ。高齢化で社会保障費が膨らむことや働き方改革の支援などで過去最大規模の31兆4298億円を要求した。防衛省も北朝鮮情勢を反映し過去最大の5兆2551億円に膨らんだ。国土交通省は災害対策や老朽インフラ対策など公共事業を中心に6兆6944億円と本年度当初比16%増となった。
 医療や年金など社会保障費の自然増は6300億円に達する見込みで、政府目標の5千億円程度に抑えることが必須だ。来年度は診療・介護報酬の同時改定が予定されている。医療と介護の連携やコスト削減を着実に進めてほしい。防衛も公共事業も聖域扱いせず、実効性を厳しく見極めたい。
 今回は看板政策の「人づくり革命」に絡む施策も多い。社会人の学び直しに取り組む大学などへの支援や、若者の能力開発事業などが並ぶが、政権の目玉の幼児教育無償化は金額を示さない「事項要求」となった。1兆円超が必要との試算もある。財源をどうするのか、真剣な議論が必要だ。
 要求は膨張したが、税収は停滞している。昨年度の税収は7年ぶりに減少し、55兆4686億円にとどまった。今後も大幅な税収増は見込みにくい。
 「成長頼み」の予算からの脱却と歳出改革の本気度が問われている。財政再建の旗を降ろさぬ予算編成を政府に求めたい。

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