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【山陽新聞】 成人年齢引き下げ 消費者被害に備えが要る

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 功罪を見極めた上での丁寧な議論が欠かせない。成人年齢を今の20歳から18歳へ引き下げる民法改正案が、今月開会予定の臨時国会に提出される見通しとなった。
 見直し議論は、2007年に成立した国民投票法で、憲法改正の是非を問う投票権が「18歳以上」とされたのが契機だ。その後、選挙権年齢を18歳に改めて昨年施行された改正公選法の付則にも、民法と少年法について必要な法制上の措置を講じるよう明記された。改正が実現すれば、明治時代以来、20歳とされてきた大人の線引きが変わる。
 欧米の主要国はすでに18歳成人が多数で、国際標準に沿うことになる。一方で懸念されるのが消費者トラブルだ。現在は、18、19歳が不当な契約を結んでしまっても親が取り消せるが、成人年齢が下がれば親の同意なしにローンやクレジットカード契約を結べる。判断力が十分に備わらない若者を狙った悪徳商法が横行するリスクも増そう。
 内閣府消費者委員会の専門調査会は先月、恋愛感情につけこんだ「デート商法」や不安をあおる手口など、合理的判断ができない状態で結んだ契約は取り消せる規定を設けるよう求めた。日弁連はさらに厳格化し、若者の判断力不足に乗じて不利益になる契約をさせた場合は取り消せるよう求めている。
 20歳になったばかりの人を狙った悪徳商法は今もはびこっているとされる。10代を被害から守るためにどんな策が有効なのか、十分な論議が望まれる。同時に、中学・高校生向けに、どんな消費者被害が起きているのか、巻き込まれたらどこに相談するかといった教育を充実させることもますます大切になる。
 改正案には、婚姻年齢の変更も盛り込まれる見通しだ。今は男性18歳以上、女性16歳以上だが、男女ともに18歳で統一される。性別によって区別する合理的な理由はなく、見直しは妥当だろう。
 成人年齢の見直しが及ぼす影響は極めて幅広い。法務省によれば、約200の法律に関係する規定があるという。
 このうち、飲酒と喫煙に関しては、警察庁が20歳未満の禁止を維持することを検討している。競馬や競輪などの公営ギャンブルについても政府は同様の方針のようだ。
 飲酒開始が早まるほどアルコール依存症になる確率が上がるとして、日本医師会は解禁年齢引き下げに反対している。同じ高校3年生で差が生じる不都合もあり、飲酒やギャンブルは今の規定を維持することが望ましいだろう。
 20歳未満の犯罪に対し、更生に重きを置く少年法の見直しも重い課題だ。18、19歳が保護観察などの対象から外れれば、立ち直りに向けた教育的な働き掛けや処遇ができなくなるとする反対は根強い。
 一律の線引きではなく、デメリットも十分に検証した上で、慎重に検討していくことが求められる。

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