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【高知新聞】 【浸水対応の手引】救助力の強化につなげよ

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 消防庁が、台風や集中豪雨で浸水した際の救助手順などをまとめて、消防隊員向けの全国統一マニュアル(手引)を作ることになった。
 自然災害でも、近年特に目立つのが集中豪雨の多さだ。ゲリラ豪雨という言葉もよく聞くようになった。7月の九州北部など、短時間の記録的な大雨によって地域が濁流にのみ込まれ、多くの犠牲者が出るケースが相次いでいる。
 地球温暖化の影響が指摘される異常気象が増えている。豪雨も今後たびたび起きると考えておいていいだろう。災害対策は情勢に応じて見直し、常に備えを万全にしておく必要がある。
 全国統一のマニュアルを作る目的は、救助態勢を標準化して減災に結び付けることだといっていい。来春までに作成する予定としているが、いつ起こるか分からないのが自然災害の怖さである。可能な限り早く取りまとめてほしい。
 豪雨が過去あまり発生していない地域が見舞われた場合、備えが不十分だったり、対応が後手後手となったりして、被害が大きくなることがあり得る。マニュアルはどこでも的確に対応できるよう、きめ細かい内容にすべきだ。
 消防庁は、夜間や濁流に覆い尽くされたときなど、訓練を重ねている消防隊員でも難しいとみられる場合の救助方法、浸水した自動車の中にいる人を助け出す際の注意点などに加え、消防隊員の安全確保策も盛り込む方針という。
 緊急事態に対応するのが消防の使命だが、近年の豪雨は猛烈な雨で河川があっという間に氾濫することが多い。瞬時の判断が求められることも多かろう。さまざまな事態を考えておきたい。
 マニュアルは完成後も絶えず点検し、充実を図らなければならない。過去の災害から得た教訓も取り入れることになるのではないか。
 やや気掛かりなのは、消防庁が全国732の消防本部を対象に調べたところ、浸水時の救助手順などに関し独自のマニュアルを作っているのは1割程度だったことだ。高知県消防政策課によると、県内15の消防本部のうち、作っていたのは二つで全国と同じ傾向だった。
 日ごろの訓練で、マニュアルがなくても救助態勢に支障はないということかもしれない。浸水被害が目立つようになったのが近年だということも関係しているだろうか。
 ただ、各地の豪雨災害では想定外の事態が再三、発生している。経験だけではなく、想定を超える事態があり得ることへの意識が欲しい。完成したマニュアルを生かし、救助力を強める必要がある。
 水害への対応が求められるのは消防に限らない。自治体や警察にも住民の命を守る責務はあるはずだ。自ら命を守る自助、地域で助け合う共助への心構えは不可欠だとしても、行政の備えは安心に結び付く。
 関係機関が連携し、何重にも安全策を取っておくよう求めたい。

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