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【信濃毎日新聞】 原子力規制委 変節の理由を聞きたい

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 納得がいかない。
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機が、13日に原子力規制委員会の審査に合格する見通しとなった。
 東電に原発を動かす資格があるか―。規制委は審査の終盤で企業体質を問題視し、安全確保の意識が徹底されているかを厳しくただしていた。
 東電から十分な答えが返ってきたとは思えないのに、一転して信認した理由は何か。国民の理解を得られるよう説明してほしい。
 東電が6、7号機の再稼働に向け、審査を規制委に申請したのは2013年9月だった。再稼働を経営再建の柱に据え、敷地内で施設整備を進めている。
 福島第1原発の事故対応で問題になった東電の隠蔽(いんぺい)体質は、今回の審査でもあらわになった。
 事故時の対応拠点となる免震重要棟の耐震性不足を14年に把握しながら、今年2月まで報告しなかった。東電側の説明と異なり、液状化で防潮堤が損傷する恐れがあることも判明している。
 規制委は、東電が再び事故を起こせば原子力行政が根幹から崩れるとの危機感を抱いた。審査申請書の出し直しを要請。田中俊一委員長は「東電を信頼できるか疑義があり、責任者の自覚を確認しないと審査は進まない」とし、自ら柏崎刈羽原発で現場担当者を聴取する異例の対応を取った。
 規制委の会議に呼んだ経営陣を前に「(福島原発の廃炉事業で)主体性が見られない。主体性のない事業者に再稼働の資格はない」と非難してもいた。
 田中委員長は18日に退任する。間際に合格としなければならない事情でもあったのか。方針転換との批判には「これまでの発言の言葉尻を捉えている」と反論している。聞きたいのは、自身が指摘した重要な問題に改善のめどが立ったのかどうかだ。
 欠陥の多い原子力行政にますます信が置けなくなる。
 国は住民の避難計画を地方に丸投げした。原発の半径30キロ圏の自治体に策定を義務付けたが、輸送手段や避難路の確保といった面で実効性が疑われる。立地自治体を除き、半径30キロ圏の県や市町村は再稼働に同意するか否かの手続きに加わることもできない。
 原発事業者の体質を見極め、訓練に基づいた避難計画を運転の条件とする、被ばくの危険がある住民らの意見を規制基準に取り入れる。そうした仕組みが整わないうちは原発を動かしてはならない。もう一度、国民の声を聴き、再稼働の方針自体を見直すべきだ。 (9月7日)

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