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【福島民友新聞】 放射線と復興/不安にこたえる情報発信を

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 放射線に関する科学的な知見を積み上げて、情報を丁寧に発信することが理解を深め、本県の復興を進めることにつながる。
 南相馬市が、交流都市となっている富山県南砺市、広島県福山市、岐阜県多治見市の協力を得て、南相馬市職員と、第1原発から遠く離れている3市の職員の外部被ばく線量を調査した。
 調査は、5月から6月にかけての2週間、各市それぞれ25人の職員が小型線量計を身に着けて測定した。生活時間が長い自宅の構造は木造で統一し、市内での居住地域も偏らないように配慮した。
 南相馬市放射線健康対策委員を務める坪倉正治医師がデータを分析した結果、1年間に換算した外部被ばく線量の平均値は、南相馬市が0・82ミリシーベルト、南砺市0・81ミリシーベルト、福山市0・79ミリシーベルト、多治見市0・72ミリシーベルトだった。
 結果について坪倉医師は「数値には自然界の放射線による被ばくが含まれている。南相馬は、原発事故の影響を受けていないとされる3市と、全体として大差がなかった。南相馬も含めてどの地区でも健康影響を考えるレベルにはない」との見解を示した。
 南相馬市の空間放射線量は原発事故後上昇したが、その後の除染や放射性物質の自然減衰によって市内の環境再生が進んでいることが調査で確認されたことになる。
 放射線に対する受け止め方は、人によって異なるが、正確で分かりやすい情報を発信し続けることが、放射線と本県の状況について正しい理解を促すことになる。こうした施策を次々に打ち出すことが復興の大きな糧になる。
 一方、国内の科学者を代表する機関「日本学術会議」は、第1原発事故による放射線の子どもへの健康影響をめぐる知見を整理、分析した報告書をまとめた。
 報告書では、第1原発事故は、チェルノブイリ原発事故に比べて被ばく線量がはるかに低いことや、胎児には影響がないことなどを指摘している。
 原発事故の発生から間もなく6年半がたつが、県内では、放射線に対する漠然とした不安が残り、避難指示が解除された後もふるさとへの帰還をためらっている人たちが少なくない。
 報告書では、放射線に対する不安をなくすために、地域に密着した対応ときめ細かなコミュニケーションの必要性を強調している。県や国には、科学的知見の積み上げと情報発信、そしてコミュニケーションに関わる施策の充実を求めたい。それは風評払拭(ふっしょく)という果実も生むはずだ。

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