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【中国新聞】 学力テスト10年 一斉調査見直し検討を

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 子どもたちの学力を確かめる仕組みを、あらためて見直す時ではないか。
 ゆとり教育で学力が落ちたのではないかとの議論に押されて全国学力テストを2007年度に再開し、今年で10年になる。11年度に東日本大震災で実施を見送ったため、本年度は10回目となった。小学6年と中学3年の全員を対象に、国語と算数・数学の2科目で実施した。
 回数を重ねてきたが、学力向上という目的を果たせているのか、疑問が残る。とりわけ応用問題の点数の低迷は、当初から続いているからだ。小学生の算数では割合、中学生の数学では関数の問題の成績が良くない。記述式の問題で正答率が低い傾向も変わっていない。
 そうした課題の根幹に、「読む力」の不足があると指摘する専門家もいる。文章を読み、何を問われているかを理解し、考える。その力を育むことによって応用問題を解く力も付くのだろう。子どもたちが活字から遠ざかる傾向が強まっていることも影響しているに違いない。
 ある程度、課題が見えてきたのは10年の成果といえる。ただ課題が明らかなら、同じようなテストを今後も毎年繰り返す必要があるのだろうか。
 文部科学省に今求められるのは、テストの分析結果がなぜ応用力向上につながらないのか、真摯(しんし)に検証することである。
 都道府県別でみると上位はこのところ、秋田や石川、福井、富山などで固定化している。そうした地域の具体的な実践に学び、指導のノウハウを共有することが実際に進んでいるのだろうか。一人一人の教員が授業で生かせるようになるまで後押ししてもらいたい。
 教員の過重労働にも目を向けなければなるまい。現場の教員からは、授業の準備をする時間が十分に持てないという声も上がっている。
 学力テストの効果を検証した上で、小6、中3の全員を対象にした「一斉調査」にこだわらず、より有効な調査の方法がないのか検討してほしい。
 もともと学力テストは「競争をあおる」との弊害を重くみて、1960年代にいったん打ち切られた。約40年ぶりに復活した後も、民主党政権時代の2回を除き一斉調査をしている。しかし、成績をどのように公表するかを巡っては、いまだに意見が分かれるところだ。
 一方、文科省は学校別結果の公表も容認している。中には過去問対策に力を入れる学校もあって、過熱ぶりが問題となっている。自治体や学校の序列を生み出してしまう負の面は依然として解消されていない。
 費用対効果の観点からも、再検討が要るに違いない。一斉調査は、毎年50億円前後かかる。子どもたちの達成度の傾向をつかむなら、抽出調査で十分だろう。地域や学校ごとの指導改善に生かすため一斉調査をするとしても、数年に1度で足りるのではないだろうか。
 目的によって、テストの方法も変わってくる。今は毎年問題が異なるが、年ごとの学力が上がったかどうかを比べるには、同じ問題で調べた方がいい。
 思考力、判断力、表現力がより重視され、学力の定義も変わりつつある。より多彩な手法、規模での学力テストを模索すべきである。

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