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【京都新聞】 18歳成人  問題点の十分な議論を

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 政府は、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる民法改正案について今秋の臨時国会に提出する構えだ。明治時代の民法制定以来続いてきた大人の定義を変える大きなテーマである。
 世界の多くの国は18歳が成人年齢だ。日本も選挙年齢は既に20歳以上から18歳以上に引き下げられており、成人年齢もそろえることで大人としての責任を自覚するよう促したい思いは分かる。
 ただ、環境が整わない段階での引き下げは、さまざまな問題が予想され、慎重に議論を進める必要がある。
 例えば、18歳成人に伴う消費者被害の拡大をどう防ぐかという問題もその一つだ。
 現行の民法では、未成年が親の同意なく商品購入や金銭貸借で不当な契約を結んでも、親が取り消すことができる。成人年齢を下げれば、18、19歳がそうした対象から外れ、悪徳業者の標的になる恐れが出てくる。
 その対策として内閣府消費者委員会の専門調査会は先月、恋愛感情に乗じる「デート商法」など合理的な判断ができない状況で結んだ契約を取り消せるよう求める報告書をまとめた。
 一方、日本弁護士連合会はそれでは不十分だとし、若者の判断力不足につけこんだ不要な商品購入や過大な不利益をもたらす契約も取り消せる規定を導入するよう求める意見書を公表している。
 消費者教育を充実させるにしても、それだけで被害を防ぐのは難しい。対策に関する十分な検討が必要だ。
 競馬などの公営ギャンブルについては、成人年齢引き下げ後も20歳未満の禁止を維持することを政府が検討している。飲酒と喫煙も警察庁は現行のまま維持する方向だ。依存症や健康被害、非行などにつながるリスクを考えれば、妥当な判断だろう。
 少年法の適用年齢を引き下げるかどうかは、法制審議会で議論が進む。
 18、19歳の少年が適用外になれば、犯罪抑止につながるとの見方がある一方、法の主眼である更生の機会が失われ、再犯が増える恐れがあるとの指摘もある。
 罪を犯した少年の立ち直りに大きな影響を与える問題だけに、成人年齢と無理に連動させない慎重な検討が要る。
 成人年齢引き下げが影響する法律は多い。自立を促すあまり、未熟な若者を守る手だてがおろそかにならないようにしたい。

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