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【西日本新聞】 児童虐待最多 市町村も積極的な役割を

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 全国の児童相談所が2016年度に対応した児童虐待の被害は12万2578件と過去最多を更新し、1990年度の集計開始から26年連続で増加した。
 厚生労働省によると、近年は夫婦間の暴力沙汰で子どもの心が傷つけられる「心理的虐待」が目立ち、警察がこれを認知して児相に通告する例が増えている。児相と学校、病院などとの連携や市民意識の高まりも被害の掘り起こしにつながっているという。
 ただし、事態は深刻だ。虐待を見つける「網の目」は細かくなったものの、増える一方の相談や通告に対応する児相のマンパワーが追いついていないからだ。
 虐待対応件数は99年度から10倍超に増大したのに対し、児童福祉司の数は約2・5倍しか増えていない。総務省のアンケートでは、児童福祉司の9割超が「業務負担が過大」と回答している。
 厚労省は、現在約3千人の児童福祉司を19年度末までに550人増やすことなどを柱とした児相強化プランを昨年まとめたが、現場の要望を満たすにはほど遠い。
 政府は虐待などで保護した子どもの養育の受け皿として、里親を増やす方針も打ち出している。里親制度の実務を担う児相の負担が今後一層増すことも予想される。それも踏まえ、児相の抜本的な態勢強化は急務である。
 同時に、虐待の要因にも広く目を向け、児相だけに頼らない虐待防止策を地域ぐるみで進めていくことも必要だろう。
 望まない出産や産後うつが、虐待の一因とされる。貧困や地域社会からの孤立が親を精神的に追い詰め、子どもへの暴力や養育放棄に至ることも少なくない。
 こうした点を捉え、昨年改正された児童福祉法では、国と都道府県に加えて市町村が児童を支援する責任を担うことが明記された。具体策としては、家庭の実情把握や相談への対応、関係機関との連絡調整などを一体的に行う「拠点の整備」を求めており、自治体がこの責務を自覚し、積極的な役割を果たすことが期待されている。

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