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【高知新聞】 【柏崎刈羽原発】再稼働ありきではないか

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 東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、原子力規制委員会が審査の事実上の合格証となる「審査書案」を、13日に取りまとめる方針であることが分かった。
 国内の原発は福島第1原発事故後に全て停止し、2015年に九州電力川内原発(鹿児島県)を皮切りに再稼働が始まった。柏崎刈羽原発の「合格」は、その流れが新たな段階に向かうことを意味する。
 原発事故の責任企業である東電に再び原発を委ねることになる。東電は本当に原発を担う資格があるのか国民の目は厳しい。
 原発には「沸騰水型」と「加圧水型」の2種があり、福島第1原発は事故発生時のリスクが高いとされる沸騰水型だった。沸騰水型の再稼働に道を開くのも初めてだ。
 規制委は、どのような審査や判断をしたのか、国民に分かりやすく説明する責任がある。
 これまで規制委は、東電の責任体制や安全意識を厳しく問うてきた。新規制基準に適合しているかどうかに加え、原子力事業者としての「適格性」も重視したからだ。
 田中俊一委員長は、ことし7月の会議でも東電経営陣に「第1原発の廃炉を主体的に取り組めない事業者に再稼働の資格はない」と強く批判していた。そんな東電を目の当たりにして、多くの国民は再稼働は遠いと感じたはずだ。
 ところが、規制委はその後、急に対応を軟化させる。
 7月の会議で、規制委は東電経営陣に、第1原発で増え続ける汚染水の処分策などを文書で回答するよう鋭く迫った。東電は先月下旬、回答文を提出したが、汚染水の処分方法は盛り込まなかった。
 それでも田中委員長は記者会見で東電の姿勢の変化を一定評価した。整合性が取れておらず、理解しにくい対応だ。
 田中委員長は任期を終え、今月18日に退任する。13日は最後の定例会合となる。これでは退任直前の「駆け込み容認」に映る。
 そもそも適格性には明確な判断基準がない。規制委がいまの東電の姿勢を「可」とするのなら、根拠を丁寧に示す必要がある。
 東電は実質的に国有化されて経営の立て直しを進めている。第1原発の廃炉や被災者対応のためにも再建は大きな課題だが、東電は柏崎刈羽原発再稼働をその前提にする。
 しかも、その審査は、沸騰水型の再稼働のモデルケースとして優先的に進められてきた。東電の準備が追い付かず、途中で優先審査から外れたものの、特別な存在であることに変わりはない。
 こうした経緯からも、規制委の対応によっては再稼働ありきの審査だったとの疑念を招きかねない。
 正式に「合格」となっても、実際の再稼働には地元自治体の同意が要る。米山隆一新潟県知事は再稼働に慎重姿勢だ。規制委の「合格」に疑問を残せば地元の同意も難しい。

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