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【陸奥新報】 深浦サーモン養殖「事業の成功で安定的な生産を」

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 深浦町で進められている大規模なサーモン養殖事業が、本格的な事業化に向けて歩みを進める。11月から来年6月にかけて、同町の深浦港湾内など2カ所で本格的な海面養殖試験が行われるという。
 町はこれまで、青森市のオカムラ食品工業などと連携し、同町黒崎に中間養殖場を整備。最大200トンの中間魚を養殖でき、サーモンの中間養殖施設としては国内最大級の規模だという。現在、一部が稼働しており、4月初旬に96グラムだった稚魚は7月末で200~250グラムにまで育っている。この中間育成されたサーモンは、海水で育てる必要がある。そのため、海面養殖試験が2016年秋から北金ケ沢海洋牧場で行われているが、17年6月の時点で生存率83%、成長倍率約4倍となるなど、良好な結果が得られた。
 本格的な試験は、鯵ケ沢水産事務所が主体となって実施。深浦漁協管内の深浦港湾内では、10メートル四方のいけすで600グラム程度に育った中間魚を養殖し、水揚げ量4トンを目指す。新深浦町漁協管内の北金ケ沢海洋牧場もいけす4基で水揚げ量40トンが目標。3~5年後には1000トン超の成魚生産を見込んでいる。
 試験で良好な結果が得られれば、町は養殖に必要な申請手続きを行い、県の認可が下りて本格的な海面養殖が可能になれば、各漁協が事業を担う段取りとなっている。地元漁業者もこの事業に期待を込めており、先月末に行われた報告会で、地元漁協の代表者からは「来年、漁業権を取れたらいくらでも参加したい」「漁業の状況は大変だが、われわれも事業に参加できてありがたい」などと歓迎の声が上がった。
 漁業を取り巻く環境は資源の枯渇、水産物の価格低迷、担い手・後継者不足などに悩まされ、大変厳しい状況にある。特に水産資源の枯渇は、相手が大自然だけに、なかなか人間の手だけでは早期の解決は図れない。例えば先ごろ、韓国・釜山で行われた太平洋クロマグロの漁獲規制をめぐる国際会議では日本が提案した、条件付きで漁獲枠拡大に道を開く新ルール導入が認められたが、漁獲枠拡大の実現には厳しいハードルが課された。
 このように一度、減少した資源を回復させるには漁業者が大きな犠牲を払うことになるが、かといって漁業者の生活を考えれば、ただ規制を強めればいいという話でもない。こうした時に安定した生産が可能な養殖事業は、漁業者の生活を維持する上でも、欠かざるものと言えるだろう。
 今回のサーモン養殖事業は、成功すれば数年後には水揚げ高が約23億円にも上ると推測されるそうだ。町の16年の総水揚げ高が約20億9000万円というから、効果の大きさが分かる。本格操業までには、さらなる困難も予想されるだろうが、関係者が知恵を絞り、事業を成功へと導いてもらいたい。

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