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【東奥日報】 合意へ日本が主導権を/米国抜きTPP

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 自由で公正な貿易・経済システムが定着する礎を築くことができるのか、それとも自国中心の保護主義のさらなる台頭を許すのか。米国を除く環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国が、今月後半に日本で開催する首席交渉官会合は、これからの世界経済の潮流を大きく左右する分岐点になる可能性がある。
 世界最大の経済大国・米国を自由貿易側に引き戻すには、TPP11カ国が大枠合意し、米国に復帰を促す態勢づくりが前提になるからだ。
 合意の目標時期は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。時間はそれほど残されておらず、厳しい協議が予想されるが、参加国の中で経済規模が最も大きく、欧州連合(EU)との間で経済連携協定(EPA)が大枠合意したばかりの日本には、合意に向け主導権を発揮することが求められる。
 11カ国がまとまることができず、TPPが漂流してしまえば、巨大な自由貿易圏を創設しようという国際的な意志が息を吹き返すことは当分の間、望めないだろう。そうなれば、力のある国が貿易相手国に2国間交渉を仕掛け、自国に有利な協定をつくろうとする流れが加速しかねない。
 既にそうした懸念は現実のものとなりつつある。米国がカナダ、メキシコとの間で進めている北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉は公正な協議とは言い難い。雇用維持・創出と貿易赤字削減を狙い、力を背景に米国からの自動車部品の調達比率アップを押し付けているように見える。
 自由で公正な貿易が失われれば、各国間の格差はさらに拡大し、世界経済は不安定さを増す。こうした状況が続けば、安価な海外製品に対する関税の引き上げ、紛争などで自国を脱出した移民・難民の流入に対する国境封鎖などを互いに繰り返す悪循環に陥ってしまう恐れもある。
 参加国の交渉担当者には、今回の会合の成否が及ぶ範囲は、一つの自由貿易圏にとどまらないことをあらためて認識してほしい。議論のけん引役を担うべき日本の担当幹部の責任は大きい。
 全参加国が百点満点を取ることはできない。交渉を積み重ね全体として満足できるような内容を目指したい。個別案件が与える影響の度合いや切迫性は産業構造や政治情勢などによって国ごとに違う。どこを守りどこを譲るのか。最大公約数を見いだしたい。

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