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【京都新聞】 日ロ首脳会談  北朝鮮制裁は見通せず

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 安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と会談した。注目されたのは、核実験を強行し挑発を続ける北朝鮮への対応と北方四島での「共同経済活動」の具体化だ。
 北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源を断つため、日米韓3カ国は国連安全保障理事会で、北朝鮮への石油の輸出禁止や出稼ぎ労働者の受け入れ禁止など、より厳しい制裁決議採択を目指している。
 そのためには、常任理事国で北朝鮮への影響力を持つ中国とロシアの協力は不可欠になる。安倍首相は国際社会が「最大限の圧力」をかけることが重要だと強調し、プーチン氏に協力を求めた。
 両首脳は、北朝鮮が朝鮮半島や地域の平和と安定の脅威になっているとして国連などで緊密に連携していくことは確認したものの、プーチン氏は制裁強化に慎重な姿勢をくずさなかったようだ。
 安倍首相は、プーチン氏と個人的信頼関係を積み重ねてきたが、北朝鮮対応に変更を促す難しさがあらためて明らかになった。説得を続けるしかあるまい。
 昨年12月の日本での首脳会談合意に基づいて協議を重ねてきた共同経済活動については、対象とする事業を、海産物の養殖や温室野菜栽培、島の特性に応じた観光ツアーの開発、風力発電の導入、ごみの減容対策の5項目に絞り込み、早期実現を図ることで合意した。10月初めにも2度目の現地調査を行う見通しだ。
 安倍首相は共同経済活動を具体化することで、日本人の北方領土往来やロシア島民との交流を拡大し、領土問題の進展や平和条約締結につなげたい意向だ。
 一方、ロシアにとっては、開発が遅れている極東に日本からの投資を呼び込む狙いがある。
 一定の前進と言えるだろうが、事業の具体化には、日本側が創設を目指す「特別な制度」が実現できるかどうかが課題になる。北方四島は両国が領有権を主張しているため、双方の主権を害さない制度の下で実施することが必要だ。
 ところが、過去には、こうした法的ルールを巡る交渉が難航し、共同経済活動が立ち消えになった経緯がある。
 今回、日本側は個別事業ごとに制度交渉を進める方針だが、ロシア側は制度づくりは、自国の法律に矛盾しないことが条件として、日本側をけん制している。
 これでは、経済協力が進むだけで領土問題や平和条約が遠のくことになりかねない。制度づくりには慎重な交渉が求められる。

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