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【岩手日報】 北上に東芝新工場 ものづくりの裾野広く

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 北上市に、記憶媒体であるフラッシュメモリーの大規模工場が新設される。東芝の半導体子会社「東芝メモリ」が来年着工、2020年ごろの量産開始を目指す。
 08年の建設発表後、10年近くを経て現実のものとなった。「待ち望み、ようやく実った」との高橋敏彦北上市長の言葉が、多くの人の思いを代弁するのではないか。
 投資額は明らかにしていないが、当初は8千億円とされていた。県内最大規模の巨額投資が見込まれ、かなりの経済効果が期待できる。
 本県は半導体を自動車、医療機器とともに産業振興の三本柱に位置付ける。地元企業には取引のチャンスが生まれ、ものづくりの裾野が一段と広くなろう。
 雇用数は未定だが、当初は千人規模を見込んでいた。人手不足の中で人材の取り合いも心配される半面、若者の地元定着や他県からの移住が進めば効果は大きい。
 新工場を巡る動きは曲折をたどった。建設発表の翌年、リーマンショックにより着工を延期。その後も半導体市況の低迷などから、慎重な見極めが続いてきた。
 需要が回復しても、東芝の半導体生産拠点がある三重県・四日市工場への投資が優先された。コストが安い海外生産も検討され、北上工場はめどが立たなくなった。
 最終的に国内を選んだ理由には、技術流出を懸念した国の後押しもあるという。次世代型3次元メモリーを巡る競争は激しく、東芝は国内から最大手の韓国サムスン電子を追うことになる。
 さらに北上での建設理由を東芝は、土地が確保されていることと「優秀な人材」を挙げた。新工場は、既にある子会社の半導体関連工場に隣接して設けられる。
 8工業団地に約270もの誘致企業が張り付く北上市は県内ものづくりの中心だ。「優秀な人材」の多さは産学官、企業間連携による人材育成が結実したと言える。
 市は今後、新工場関連のインフラ整備や将来の拡張に向けた調整を行う。市内で新たな公共交通システムも目指しており、より住み良いまちづくりにつなげてほしい。
 気掛かりは、東芝の本体が揺らいでいることだろう。10年前の新工場発表時は日本を代表する企業だったが、今の印象は大きく違う。
 不正会計、米原発事業による損失で経営不振に陥り、上場廃止の瀬戸際にある。債務超過を解消するための東芝メモリの売却も、年度内の期限が迫る中で迷走が続く。
 新工場建設を正式発表し、県や市の協力も受ける以上、企業は地元への責任が生じよう。再建を果たし、確実に工場を稼働させてもらいたい。
 

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