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【河北新報】 日ロ首脳会談/築かれた信頼関係はどこに

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 会談はこれで19回目。信頼関係を積み上げてきたという。だが、こうも食い違うと、築かれた関係とはどのようなものだったのか、こちらが一方的にそう期待していただけではないのか。そんな疑問が頭をもたげてくる。
 ロシア・ウラジオストクであった安倍晋三首相とプーチン大統領との首脳会談だ。
 日本列島越えの弾道ミサイル発射に続き、6回目の核実験を強行した北朝鮮を巡る立場の違いは、平行線をたどった。平和条約締結に向け「重要な一歩」と位置付ける北方領土での共同経済活動に関する立場の隔たりについても、解消するには至らなかった。
 浮き彫りになったのは埋め難い双方の溝である。成果は乏しかったと言うほかない。
 北朝鮮を巡っては、米韓と連携し国際包囲網の強化を図りたい安倍首相にとって、国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアの協力は不可欠だ。直接に説得できる、この好機にプーチン氏から協力を取り付けたい考えだった。
 だが「制裁は無益だ」と語る大統領は、対話重視の姿勢を崩さなかった。
 北朝鮮は、米本土だけでなく米軍基地がある日本列島もミサイルの標的とする「危険極まりない存在」だ。が、相手はそうした認識すら共有してはくれなかったようだ。
 「制裁」には触れず、むしろ経済支援として、北朝鮮とロシア間の鉄道建設に言及したのがその証しといえる。
 背景にあるのは、信頼関係などとは別次元の冷厳なロシアの安全保障観ではないか。
 米国とにらみ合うロシアにとって、北朝鮮の反米行動は自国利益と合致する部分があるとはいえ、米国との同盟関係を後ろ盾に北朝鮮と向き合う日本の立場は、自国の戦略とは合致し難い。
 その影は北方領土問題をも覆う。将来、領土を返還したとしても「米軍が展開する可能性がある」と、プーチン氏が6月に表明した懸念は消えまい。領土問題解決の道は、なかなか険しい。
 その北方領土での共同経済活動については、海産物の養殖や観光ツアー開発、温室野菜栽培を含む5項目の早期実現を図る方針で合意した。
 だが、活動のための前提づくりが進んでいない。日ロが双方の主権を害さない法的枠組み「特別な制度」を整えることだ。しかしロシアは「自国の法律に矛盾しないことが条件」との主張を譲らない。
 信頼関係を基に両首脳こそが話し合うべき課題である。だが、またも先送りされた。
 ロシアは先に北方四島を外資誘致も目的とした経済特区に指定した。実利優先だ。共同経済活動とは名ばかりで、結局は自国主権下で経済協力を引き出すのが目的ではないか、との疑念は消えない。
 こちらの足元を見た、したたかな外交と、どう渡り合うのか。領土問題解決に向け安倍外交は正念場を迎えよう。

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