Home > 社説 > 全国紙 > 読売新聞 > 【読売新聞】 対北朝鮮制裁 外貨稼ぎの抜け穴を封じよ
E010-YOMIURI

【読売新聞】 対北朝鮮制裁 外貨稼ぎの抜け穴を封じよ

そう思わないそう思う (0 点, 2 投票)
Loading...

 国連安全保障理事会が厳しい制裁決議を採択しても、各国が履行に協力しなければ、効果は生じない。核ミサイル開発に流用される北朝鮮の外貨稼ぎを封じ込める必要がある。
 安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがまとめた中間報告で、制裁体制の抜け穴が改めて浮き彫りになった。委員長を務めるイタリアの大使が「北朝鮮は今なお、制裁を免れる能力を持っている」と指摘した意味は重い。
 昨年12月から今年5月の間に、北朝鮮は石炭や鉄鉱石など、決議で交易を制限されている資源を輸出し、約300億円の外貨を得たという。中国が2月に石炭取引を停止すると、輸出先をマレーシアやベトナムに切り替えた。
 北朝鮮産を隠すため、第三国経由で輸出したり、品目を偽装したりする事例も多い。巧妙な「制裁逃れ」を防ぐため、関係国は取り締まりを強化すべきだ。
 アフリカのアンゴラやウガンダでは、北朝鮮の要員が大統領の警護隊や軍、警察などに訓練を行い、対価を得た疑いがある。シリアが北朝鮮と武器売買を行ったとする情報も寄せられている。
 問題なのは、こうした取引の実態が不透明なことだ。専門家パネルに制裁の履行状況を報告しているのは、国連加盟193か国中、78か国にとどまる。日米韓は各国への働きかけを強め、決議の実施を支援することが求められる。
 北朝鮮が国外に労働者を派遣して、外貨を不当に稼いでいる現状も看過できない。既存の制裁は、労働者の新規受け入れの禁止にとどまっている。
 韓国の研究機関の推計などによると、国外労働者数は十数万人に達する。北朝鮮当局が賃金の上前をはねて、年間10億ドル以上を得ているという。派遣先は中国とロシアが大半を占め、クウェートなどの中東や東欧にも及ぶ。
 米政府は各国に労働者の北朝鮮への送還を求め、欧州連合(EU)も制裁強化の一環として、受け入れ制限の検討を始めた。
 米国が作成した安保理の追加制裁決議案にも、原油や石油精製品、天然ガスの禁輸と共に、北朝鮮労働者の雇用の全面禁止が盛り込まれた。労働資格を持たずに外貨稼ぎをしているケースも含めて、出入りを遮断することが重要だ。
 北朝鮮は、偽札取引や麻薬密売、マネーロンダリング(資金洗浄)などにも手を染め、違法な資金が金正恩政権の暴挙を支えている。制裁の強化に応じて、国連の監視体制も拡充すべきではないか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。