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【読売新聞】 カードローン 銀行の審査体制強化が必要だ

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 返済能力を上回る貸し付けは多重債務の温床になりかねない。
 銀行には、過剰融資を防ぐためのきめ細かい対応が求められる。
 融資残高が急増している銀行の個人向けカードローンについて、金融庁が月内に、実態把握に向けた立ち入り検査を始める。残高の多いメガバンクや地方銀行など10行程度が対象となる見通しだ。
 カードローンは、窓口融資と異なり、使途が問われず、無担保で借りられる。現金自動預け払い機で引き出せる手軽さも魅力だ。
 銀行業界全体の融資残高は5・7兆円と、5年前の1・7倍に達した。19年ぶりの高水準だ。
 検査は、貸し過ぎを防ぐしっかりした審査体制が整っているかどうかがポイントとなる。
 複数の銀行のカードで借りるうちに借金が雪だるま式に増え、返済に苦しむ利用者が絶えない。金融庁には、検査を通じて、問題点をあぶり出してもらいたい。
 ローン急増の背景には、高い利ざやを得ようとする銀行の積極的な事業戦略がある。
 日本銀行の金融緩和政策による超低金利が長期化している。最大十数%の高い金利が見込めるカードローン市場は貴重な収益源だ。過度なノルマを行員に課して、利用者獲得を促すようなケースが少なくないとも指摘される。
 カードローン増加には、規制の抜け穴という構造問題もある。
 2000年代の多重債務問題を機に、消費者金融会社には、融資額を利用者の年収の3分の1までに制限する規制が設けられた。一方、銀行は、審査体制が整っているとして対象外とされた。
 メガバンクは消費者金融や信販会社を傘下に収め、個人向けローンの拡充を図ってきた。三菱UFJはアコム、三井住友は旧プロミス、みずほはオリエントコーポレーションを抱えている。
 この結果、規制のない銀行が、消費者金融で融資を断られた利用者を取り込むという本末転倒とも言える現象が起きている。
 カードローンは、銀行が表に立つが、多くの業務は消費者金融に委託されている。返済が滞った貸付金の回収も消費者金融が請け負う。銀行が十分な審査をせずに業務を丸投げしているとすれば、企業統治の面で問題があろう。
 昨年の自己破産の申立件数は、13年ぶりに増加に転じた。銀行業界は、これ以上、問題が深刻化する前に、まずは、利用者の返済能力の確認を徹底し、相談窓口の体制などを強化すべきだ。

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