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【高知新聞】 【日露首脳会談】 対北朝鮮で溝は埋まらず

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 安倍首相とロシアのプーチン大統領が極東ウラジオストクで19回目となる会談を行った。
 北方領土での共同経済活動とともに、6回目の核実験を強行した北朝鮮への対処が主要な議題となったのはいうまでもない。だが、対北朝鮮を巡る主張は歩み寄りのないままに終わった。
 北朝鮮による3日の核実験の爆発規模は過去の実験に比べてはるかに大きく、北朝鮮が主張する「水爆」の可能性も否定できないという。弾道ミサイル、核ともに技術の進展は疑いようがない。
 会談で両首脳は核実験を「地域の平和と安定への深刻な脅威」と受け止め、緊密に連携していくことで一致したようだ。ただし、具体的な対応は全く異なる。
 安倍首相は「最大限の圧力」が必要だとして、国連安全保障理事会の新たな制裁決議採択への協力を求めた。米国が安保理メンバー国に示した制裁決議の原案は極めて厳しい内容となっている。
 北朝鮮への原油や石油精製品の輸出禁止、北朝鮮からの繊維製品の輸出禁止、出稼ぎ労働者の受け入れ禁止、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長らの資産凍結と渡航禁止などが柱だ。核・ミサイル開発のための資金遮断が主目的だが、北朝鮮の市民生活にも大きな影響が出るだろう。
 これに対し、プーチン氏は追加制裁を「無益で効果がない」と否定している。首脳会談後の共同記者発表でも「外交、政治的な方法でのみ解決可能だ」と、対話重視の姿勢を繰り返した。日米との溝は一向に埋まっていない。
 ロシアとともに鍵を握る中国は核実験を強く非難し、王毅外相は安保理による「さらなる必要な措置」に賛同するとも述べている。ただし、対話と平和的手段によって解決する方針は崩していない。
 米国は11日の決議案採決を目指しているが、拒否権を持つ中ロの説得は容易ではない。北朝鮮の核・弾道ミサイル開発を巡って、米国が朝鮮半島周辺で軍事面を含む影響力を高めることに対し、中ロは強い警戒感を抱いてもいる。
 北朝鮮と米国が互いに挑発を繰り返し、事態がさらに悪化していくことをまずは食い止めなければならない。安倍首相がトランプ米大統領やプーチン氏との信頼関係を自負するのであれば、自制に向けて積極的に働き掛けてもらいたい。
 たとえ圧力の強化は必要だとしても、問題の解決は対話を通じてしか得られない。そのためには各国がそれぞれの思惑を脇に置き、国際社会が結束して、粘り強く北朝鮮を説得していくしかないだろう。
 北朝鮮はきょう9日、建国記念日を迎えた。弾道ミサイル発射などの新たな挑発行為が懸念されるが、強行すれば国際的な孤立はさらに深まる。制裁強化による市民の不満も伝えられる。金正恩体制の誇示が逆に体制の維持にマイナスに働きかねないことを認識すべきだ。

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