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【福島民友新聞】 EU輸入緩和に暗雲/国と県の本気度が問われる

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 またもや海外で本県の状況や取り組みが理解されていないことが明らかになった。政府と県はただちに反応し、認識を正してもらうよう努めなければならない。
 欧州連合(EU)欧州議会の環境委員会が、東京電力福島第1原発事故後に本県などの農水産品に課している輸入規制の緩和をEUが検討していることについて「放射性物質に汚染された食品が出回らないとの保証がない」として再検討を求める決議を採択した。
 EU欧州委は今月下旬以降に規制緩和の最終調整を予定していたが、決議は当初案を撤回し、欧州側での安全検査を適切に行うことなどを盛り込んだ新たな規制緩和案を年内に策定することを欧州委に求めた。決議に拘束力はないが、EUの最終調整に影響する可能性がある。ようやく動きだした規制撤廃への流れをせき止めるようなことがあってはならない。
 EUは原発事故後、日本産食品の輸入規制を導入、その後サンプル調査の分析結果に基づき段階的に緩和しているが、いまだに本県はじめ静岡県以東の13県からの一部食品を対象に、放射性物質検査の証明書提出を義務付けており輸出の際の障害になっている。
 そうした中、7月に日本とEUが経済連携協定(EPA)交渉の大枠合意を発表した際、ユンケル欧州委員長が会見で輸入規制を今秋以降、緩和する方針を示し、安倍晋三首相も「高く評価する」と述べている。その後、欧州委も本県産など10県に関係する一部食品を除外する方向で調整していた。
 本県産をはじめ日本の食品は安全性が確認されたもの以外は流通していない。とくに県産米は全量全袋検査を行うなど徹底している。政府はEUなど規制を続けている国々に科学的な根拠に基づいて判断するよう求めてきた。ユンケル委員長の発言とその後の欧州委の動きは、安全性に対する理解が進んだ結果と受け止められた。
 それが一転、どうしたということか。欧州の人々の代表である欧州議会議員に日本産食品の安全性についての理解が全く深まっていないということではないのか。
 一昨年夏、内堀雅雄知事の欧州訪問に同行した本紙記者は帰国後、「情報量が少ない上に時間の経過とともに関心も薄れ、本県への認識が震災発生直後とほぼ変わらない状況にある」と本県の現状が正しく認識されていない状況を報告していた。その後も原発事故の記憶と風評だけが消えないまま残っているということなのか。誤解と偏見を解くために、政府と県の本気度が問われる局面である。

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