Home > 社説 > 地方紙 > 九州・沖縄地方 > 熊本日日新聞(熊本県) > 【熊本日日新聞】 対北朝鮮首脳外交 平和的解決へ地道な努力を
e275-kumamoto

【熊本日日新聞】 対北朝鮮首脳外交 平和的解決へ地道な努力を

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 安倍晋三首相としては、北朝鮮のさらなる挑発行動の阻止と朝鮮半島の非核化に向け、関係国の足並みをそろえる場にしたかったはずだ。だが、浮き彫りになったのは各国の複雑な思惑と利害関係が絡む国際社会の現実だった。
 「東方経済フォーラム」出席のためロシア極東ウラジオストクを訪問した安倍首相は、韓国の文在寅[ムンジェイン]大統領、ロシアのプーチン大統領と相次いで会談した。
 日韓首脳会談では核・ミサイル開発を強行する北朝鮮に対して、日米韓3カ国の連携を強化し、国連安全保障理事会でのより強力な制裁決議の採択を目指すことを確認した。ただ、日ロ間では、対話重視の姿勢を崩さないプーチン氏との認識の違いが際立ち、平行線に終わった。
 安保理では、米国が北朝鮮への石油禁輸や金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長の資産凍結などを盛り込んだ「最強の制裁」(ヘイリー国連大使)決議の原案を提示している。
 日ロ首脳会談で首相は「国際社会全体で最大限の圧力をかけることが重要」と強調。これに対してプーチン氏は「外交・政治的な方法でのみ解決可能だ」と言明し、立場の違いが鮮明になった。
 会談に先立つ討論会でも、プーチン氏は「軍事圧力は何も生み出さない」と日米をけん制。さらに「(朝鮮半島に)緊張状態があるのならば、監視する一方で投資は続けなければならない」とも訴え、北朝鮮との経済協力を続ける意向を表明した。
 これらの発言から見ても、米国が提示した制裁案をロシアや、同じく対話を重視する中国がそのまま受け入れることは考えにくい。安保理協議に今後、両国がどう対応していくかが焦点となろう。
 日韓会談では、北朝鮮への圧力強化方針で一致したものの、双方の基本姿勢には微妙な違いもある。首相は「対話のための対話は意味がない」との認識で、北朝鮮の行動は「これまでにない深刻かつ重大な脅威」と強調、「異次元の圧力」の必要性を主張した。
 これに対して文氏は「国際社会と協力して制裁と圧力を最大限に加える」と圧力強化の方針を示しながらも、「究極的には平和的方法で解決したい」とも言及した。朝鮮半島での一層の緊張激化は避けたいとの立場だろう。
 日本側としても軍事力行使が最悪の事態であることに変わりはない。圧力から対話へとつなげていく道筋を誤らないよう、日韓で認識を共有し、対処方針を協議していくべきだ。米国のトランプ政権に対しても、北朝鮮の挑発に乗る軍事的行動や、逆に北朝鮮の核保有を認めて日韓の頭越しの交渉に踏み込むことのないよう働き掛けていく必要がある。
 日米韓と中ロがけん制し合い、足並みが乱れたままでは、それこそ北朝鮮の思うつぼだ。各国の連携をどう構築するかが重要な鍵であり、そのために日本が果たすべき役割は大きい。平和的解決を目指して、地道な外交努力を積み重ねるべきだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。