Home > 社説 > 地方紙 > 近畿地方 > 京都新聞(京都府) > 【京都新聞】 ロヒンギャ難民  スー・チー氏声上げて
E200-KYOTO

【京都新聞】 ロヒンギャ難民  スー・チー氏声上げて

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャの武装集団と軍が衝突し、ロヒンギャの住民を巻き込んで多くの死者が出た。
 国境を越えバングラディシュに逃れたロヒンギャの難民は12万人を超える。難民キャンプは飽和状態で、食料や衛生の問題を抱え憂慮すべき事態だ。
 国連は、軍がロヒンギャ住民の殺害に加担したと非難し、ノーベル平和賞のマララ・ユスフザイさんも暴力中止を訴えるなど、国際社会はロヒンギャへの迫害ととらえている。
 残念なのは、同じ平和賞を受賞したミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が沈黙していることだ。なお隠然と実権を持つ軍との微妙な関係がある。支持者の仏教徒がイスラム教徒に反感を持ち、ロヒンギャに対する差別感情が強いとも言われる。
 そうしたことへの配慮であるなら失望を禁じ得ない。ミャンマー民主化運動で人権を掲げた指導者だからこそ、問題解決へ声を上げ、一歩踏みだしてもらいたい。
 ミャンマーは多民族国家で、多数派のビルマ族をはじめ135の民族が国に公認されている。しかし、ロヒンギャは認められていない。軍政権下の1982年に制定された国籍法で、土着の民族とみなされなかった。
 「不法移民」として脅しや嫌がらせを受け続け、1970年代と90年代には20万人規模の難民となって国外へ。西部ラカイン州に推定80万人が住むが、2012年の暴動で仏教徒に襲われ、守る名目で隔離居住区に入れられた。
 今回の衝突は、ロヒンギャの武装集団が警察を襲撃したのが発端で、それ自体は許されない。しかしロヒンギャへの差別が背景にある。過激派組織「イスラム国」の侵入を懸念する声も出ている。テロ集団の温床にしてはならない。
 アナン元国連事務総長を委員長とするミャンマー政府諮問委員会が、ロヒンギャの権利拡大を勧告した。政府は迅速な対応を目指すとした。しかし、国連決議の調査団受け入れを拒否した経緯がある。
 スー・チー氏は、偽ニュースが問題をあおっていると指摘した。しかし報道を制限するミャンマーこそ国際社会にオープンとなり、改善の姿勢を見せる必要がある。
 日本に逃れてきたロヒンギャの人々もいて、群馬県館林市には約200人が暮らすという。ミャンマーとの関係が深い日本は経済協力だけでなく、ロヒンギャに国籍を認め、諸権利を与えるよう働きかけるべきではないか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。