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【秋田魁新報】 ギャンブル依存症 政府の対策では不十分

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 政府は、ギャンブル依存症を抑制するための具体策を明らかにした。統合型リゾート施設(IR)建設に向けた環境整備の一環。自民・公明の両党は先の通常国会にギャンブル依存症対策基本法案を提出しており、今回の具体策は同法案が政府に策定を義務付ける基本計画に反映されるという。
 具体策は、依存症対策推進関係閣僚会議が取りまとめた。競馬、競輪、オートレースなど公営ギャンブルの投票券のインターネット購入に関しては、本人の申告で購入限度額を設定できるシステムを2022年度までに整備するなど、さまざまな対策を打ち出した。
 各公営ギャンブルとパチンコ・パチスロが共通して取り組むとしたのが「本人・家族申告によるアクセス制限」と、相談体制の強化だ。競馬の場合、本人申告による競馬場および場外馬券場への入場制限が、地方競馬で今年4月から、日本中央競馬会では7月から実施されている。家族の申請による馬券購入制限についても仕組みを構築するとした。
 また相談体制の強化として、各ギャンブルの主催団体が開設している相談窓口の業務を充実させ、保健所や医療機関を紹介するなど一元的・専門的に対応する体制の構築を目指すとしている。
 だが、借金を重ねていても公的機関や医療機関に相談しない人が多いのが依存症の特徴だ。民間の調査では、初めて医療機関を受診した際の借金は平均で1千万円を超えていた。本人や家族からの申告や相談を前提とした対策だけでは後手に回る恐れが高く、十分な対策とは言い難い。
 政府が今年3月に発表したギャンブル依存症の実態調査では、依存症が疑われた人の6割の原因がパチンコ・パチスロとみられた。政府が最も力を入れるべきはこの業種だろう。
 所管する警察庁が示した具体策は、射幸心をあおるギャンブル性の高い台の機能・設定の抑制が柱。1回の標準的な遊技時間とされる4時間の出玉率(客が発射した玉数に対する出玉数の割合)を「5分の2~1・5倍」に見直し、勝ちや負け幅の縮小を図る。
 出玉率基準の順守に向けて警察庁が明記したのが「監視できる遊技機の開発・導入」。基準に適合しているのかをパチンコ店が容易に確認できるようにするとした。しかしパチンコ店任せではなく、より実効性のある対策が求められる。各店舗の出玉率を第三者機関がチェックする監視体制の構築が望まれる。
 今月下旬召集の臨時国会では、依存症対策基本法案とは別に「IR実施法案」が提出され、大きな焦点となる見通し。効果的なギャンブル依存症対策が示されない限り、IR整備に対する国民の不安は払拭(ふっしょく)できない。政府が示した具体策をたたき台に、国民的議論が必要だ。

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