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【岩手日報】 東電原発審査 規制委の厳格さどこへ

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 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原子力規制委員会の審査に合格する見通しになった。事実上の合格証に当たる審査書案が13日に了承される方向だ。
 規制委による新基準の下、再稼働に向けた審査に合格したのは6原発12基に上っている。しかし、今回の意味合いはこれまでとは違う。過酷な福島第1原発事故を起こした当事者が対象だからだ。
 事故現場は今もなお厳しい状態が続く。溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の全体像をつかめず、回収が困難を極めるのは必至。たまり続ける処理水の問題も抱える。
 暮らしを奪われた人は膨大な数に上る。福島では徐々に帰還が進んでいるが、街の再生は見通せない。本県も農産物などが被害を受けた。再稼働に向けた動きは被災者に複雑な思いを抱かせるだろう。
 規制委は東電に対し、他の事業者に比べて厳しい姿勢で臨み、「適格性」も問いただしてきた。7月には田中俊一委員長が東電幹部に「福島第1原発の廃炉を主体的に取り組めない事業者に再稼働の資格はない」と批判した。
 しかし、ここにきて軟化。規制委から「第1原発の経験はプラスになる」との評価も出た。田中委員長には18日に退任する前に道筋を付けたい意向があるという。「スケジュールありき」と言われてもやむを得ない。厳格な姿勢はどこに行ったのか。
 柏崎刈羽が合格すれば東日本では初めてとなる。これまでは西日本の「加圧水型」だけだったが、東日本の東電、東北電力は「沸騰水型」。福島と同型の合格が今後相次ぐかもしれない。
 再稼働を巡って思うのは、過酷事故が起きた場合の責任を一体誰が持つのかということだ。
 審査合格の際、田中委員長は「求めてきたレベルの安全性を確認した。リスクがゼロと確認したわけではない」と強調してきた。つまり、「絶対安全」を意味するものではない。一方で安倍政権は「審査で安全性が確認された原発の再稼働を進める」との立場を示してきた。
 結局、責任は事業者が負うことになるのか。
 東電は福島で、巨大な津波が襲う可能性を知りながら、防潮堤かさ上げなどの対策を取ろうとしなかった。事故前から隠ぺい体質が指摘されており、不信感を拭えない。
 東電は柏崎刈羽を経営再建の柱としている。しかし、合格しても再稼働までの道のりは長い。米山隆一新潟県知事が、福島第1原発の検証が終わらなければ判断できないとしているからだ。
 たとえ規制委が認めても、適格性に社会から厳しい目が注がれ続けるだろう。
 

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