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【読売新聞】 海保警備体制 適切な法執行で主権を守れ

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 海洋秩序を乱そうとする近隣国との衝突を避けつつ、領土と権益を保全する。それには、海上保安庁の警備体制の計画的な増強が欠かせない。
 海保は2018年度予算の概算要求に、前年度比9%増で過去最高の2303億円を計上した。海保最大の6500トン級巡視船を新造し、5隻体制とする。海洋監視のためのジェット機1機を導入する。これらが柱である。
 政府は昨年末、中期的な「海上保安体制強化に関する方針」を初めて策定した。海難救助や海上の治安維持に加え、領海警備、テロ対策など、海保の役割は増大している。この方針を踏まえ、装備や要員を着実に拡充させたい。
 尖閣諸島の国有化から、11日で5年を迎える。12年当時、海保が1000トン級以上の大型巡視船を51隻保有していたのに対し、中国は40隻しかなかった。
 中国は急速に装備を増強し、19年には145隻と、海保を数量的には圧倒する見通しだ。1万トン級の巡視船も就航させた。
 海保は、21年度に大型巡視船を69隻とする計画だ。当時1万2689人だった定員も1万3744人に増やしたが、一層の増員や効果的な船艇運用が求められる。
 中国は、月3回のペースで尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す。公船3隻の航行が通例だったが、昨秋から4隻に増やしている。
 不測の事態を避けるには、海保が数的優位を確保しつつ、適切な警告で領海外に誘導すべきだ。
 警戒すべきは中国公船だけではない。日本の領海では、近隣諸国による漁船の違法操業や無許可の海洋調査も相次ぐ。
 特に、能登半島沖300キロの排他的経済水域(EEZ)内の漁場では、北朝鮮籍や中国籍とみられる違法漁船が急増している。約300隻が集まったこともある。
 海保は7月上旬から取り締まり、放水などで延べ約820隻をEEZ外に追い出した。
 違法行為の常態化を防ぐには、海保が自治体や水産庁などと連携し、速やかに対処する必要がある。14年には、小笠原諸島周辺にサンゴの密漁船が集結した。尖閣諸島周辺と他の海域の「二正面作戦」への備えも求められる。
 政府は14日、東京で各国の海上保安機関の長官級会合を開く。38の国・地域・国際機関を招き、中国やロシアも参加する予定だ。
 軍事的な手法でなく、海保の適切な法執行を通じて緊張を回避する。そうした日本のノウハウを各国と共有することが重要だ。

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