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【岩手日報】 災害時の住宅確保 東日本の苦しみ教訓に

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 立ち並ぶ真新しい家屋や災害公営住宅と、ひっそりして空き室が目立つ仮設住宅団地。東日本大震災から6年半の被災地は、復興が進んできた半面、生活再建の格差が際立つ。
 本県では7月末現在で、災害公営住宅の完成率が8割を超えた一方、みなしを含む仮設住宅入居者数は1万人超に上る。
 入居期間が原則2年間なのに、延長を繰り返し長期化する仮設生活。将来展望を持てないまま入居し続ける人にとって、孤独感は募る一方だ。
 「ここは、生きる場所ではあっても、生活する場所じゃない」
 入居者の苦しみの声は、現行の災害時の住宅施策の課題を浮き彫りにしている。
 来るべき大災害時には、東日本以上に長期の仮設暮らしを強いられるかもしれない。生活の質に配慮し、中長期を見据えた備えを進めなければ、ただ生きることを強いられる苦しみは繰り返される。
 内閣府の推計によると、南海トラフ巨大地震で必要な仮設住宅は最大205万戸。みなし仮設の供給可能戸数は121万戸、プレハブ仮設は84万戸の整備が必要となる。首都直下地震では最大94万戸が必要で、みなし86万戸、プレハブ8万戸だ。
 東日本で提供されたプレハブ仮設が5万戸超であることを考えれば、現行の住宅確保策では到底対応できない。
 内閣府の有識者検討会は先月末、大規模災害時の被災者の住宅確保に関する提言をまとめた。一部損壊した自宅を修理して住み続ける在宅避難への支援強化、民間住宅の空き家活用などを挙げている。
 仮設住宅の構造を強化し、恒久住宅として早期に整備できる工夫の必要性も提言。仮設暮らしの長期化対策として、実現が期待される。
 住田町は震災直後、町産のスギを使用したぬくもりあふれる仮設住宅を整備した。このような、地域の特色を生かした多様な住まいを整備することで被災者を支えたい。
 懸念されるのが、住宅必要戸数が膨大なだけに、質にまでは手が回らず、数合わせに終始することだ。
 各都道府県や市町村は空き家バンクの活用、建設候補地のリストアップ、広域的な避難者の受け入れ協定など可能な限り備えを進めてほしい。
 東日本では、仮設入居者に比べ、在宅避難者やみなし仮設入居者への情報が行き届かず、支援から取り残される問題が起きた。この問題は、南海トラフなどではさらに深刻化する可能性が高い。
 住宅に加え、仕事や健康面など被災者の抱える悩みは多岐にわたる。東日本や台風10号被災地での相談支援活動のノウハウを生かしたい。
 

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