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【西日本新聞】 iPS医療 「創薬」への期待も膨らむ

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 全身の筋肉などが徐々に硬くなって骨に変わる「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」は、有効な治療法のない難病の一つだ。国内には、60~80人程度の患者がいると推定されている。
 京都大の研究チームが、そのFOPの治療薬候補を、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って発見し、臨床試験(治験)を進めている。
 さまざまな組織に成長する能力を持つiPS細胞は病気などで失われた臓器などを作り出す再生医療だけでなく、創薬分野でも活用が見込まれている。
 京大によると、iPS細胞を使って発見した薬の治験は世界で初めてという。難病に苦しむ患者に希望をもたらす成果である。今後の展開を期待したい。
 研究チームはFOP患者のiPS細胞から病気の特徴を持つ細胞を作製し、さまざまな薬の候補物質を加えて効果などを調べた。
 約6800種の物質の中から、免疫抑制剤「ラパマイシン」が異常な骨の形成を抑えることを突き止めた。国内では「リンパ脈管筋腫症」という難病の治療薬として販売されている。既存薬で一定の安全性は確認されているが、FOP患者への有効性などを調べる必要があるため治験を行う。
 6歳以上60歳未満の患者20人を対象に、京大病院のほか東京大、名古屋大、九州大の各病院で実施するという。
 治験には至っていないが、ほかでも期待は広がっている。慶応大のチームは「筋萎縮性側索硬化症」の患者からiPS細胞を作り、治療薬の候補を見つけている。京大の別のチームは「軟骨無形成症」に対し、世界で広く流通している高脂血症治療薬「スタチン」が効く可能性を突き止めている。
 iPS細胞創薬の今後について専門家は「ゲノム(全遺伝情報)編集など周辺技術が出てきたので飛躍的に進んでいく」とみる。難病の治療薬開発に向け、今回の治験は大きな一歩になるだろう。安全性を最重視し、今後も研究を積み重ねてもらいたい。

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