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【茨城新聞】 景気拡大 過大評価してはならない

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国内景気の拡大が戦後2番目に長い「いざなぎ景気」に並んだとされるが、その実感は乏しいという声が多い。当然の話で、2014年4月の消費税増税後の低迷が景気後退と認定されておらず、期間が事実上、水増しされているからだ。今回の拡大局面を過大評価してはならない。
内閣府は8月の月例経済報告で、「緩やかな回復基調が続いている」との景気判断を維持し、茂木敏充経済再生担当相は、12年12月に始まった景気拡大はいざなぎ景気と同じ57カ月に達した可能性が高いとの暫定的な見解を表明した。
戦後最長の景気拡大は02年から08年まで続いた73カ月だが、力強さは乏しく、景気が良かったという印象は薄い。2位のいざなぎ景気は高度経済成長期の1965年11月から70年7月までで、実質成長率が10%を超えることも多く、戦後の景気拡大の代表例とされている。3位だった51カ月の「バブル景気」も成長率が5%前後で推移した。
今回の景気拡大はいざなぎ景気やバブル景気と比べて成長率が低く、好景気といわれてもぴんとこないのは無理もない。アベノミクスが始動した2013年度は成長率が2・6%だったが、14年度は消費税率が5%から8%に引き上げられた影響で、マイナス0・5%に沈んだ。15、16年度もそれぞれ1%台の伸びにとどまっている。
14年度は5年ぶりのマイナス成長だったが、不思議なことに内閣府はこれを景気後退と認定していない。勘ぐれば、消費税増税の失敗を認めたくない首相官邸と財務省に配慮したのではないだろうか。もしこの時期に景気後退があったことを認めるなら、景気拡大の期間はまだ3年前後ということになり、いざなぎ景気には遠く及ばない。
消費税増税が日本経済に与えた打撃が深刻だったことを再確認したい。個人消費は約3年にわたり低迷し、景気を下押しした。物価もなかなか上がらず、デフレ完全脱却はいまだしだ。その意味で、安倍政権が消費税率の10%への引き上げを2回延期したのは正しい判断だったと評価したい。
仮に消費税増税の誤りを認めず、「いざなぎに並ぶ景気拡大」を誇るようなことがあれば、経済運営の判断にも影響しかねない。景気拡大期間に関する内閣府の正式の判定はこれからだが、それにとらわれることなく、景気動向を冷静に分析しなければならない。
一方、足元の景気を見れば、17年4〜6月期まで6四半期、プラス成長が続いており、とりわけ雇用はバブル期以来の状況まで改善している。景気が緩やかに拡大し、先行きに光が見えてきたことは間違いない。しかし人手不足が強まっているのに、賃金は予想されたほど上昇していない。
これは、雇用の不適合を除いて働きたい人がすべて働ける「完全雇用」がまだ実現していないことを示している。景気拡大がいざなぎ景気に並んだかどうかにあまり意味がないのはもちろん、現状を完全雇用の好景気だとみるのも早計だと言わなければならない。
今後の経済政策で心配なのは、楽観的な景気判断に基づいて金融・財政を早まって引き締めることだ。特に19年10月には消費税率の10%への引き上げが予定されている。政府は慎重に経済状況を見極め、増税の是非を判断する必要がある。

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