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【読売新聞】 官民ファンド 投資案件の情報開示がカギだ

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 国費を投じる以上、投資する案件の政策効果と収支結果について、国民への十分な説明と情報開示が求められる。
 安倍政権の成長戦略の一環として、財政投融資を主な原資とする官民ファンドの設立が相次いでいる。
 その数は14に上り、政府出資金と債務保証額を合わせた資金規模は約4兆円に達している。
 ファンドの収支は赤字が多く、財務体質の悪化が目立つ。投資案件が見込み通りに軌道に乗らず、投じた資金が生かされていない実態があるのではないか。
 財投は、国の信用力で集めた資金を使って、どれだけ効果的に民間の活力を引き出し、経済を底上げするかが問われている。
 官民ファンドが、アベノミクスに資する役割をきちんと果たしているのか、疑念は拭えない。
 農林漁業の成長を促すファンドの場合、109件に投資しており、昨年度は15億円の赤字だった。
 農産品の生産・販売に一貫して取り組む6次産業化事業で、計画通りの売上高を維持したのが56%と、目標の7割を下回ったことなどが影響したとみられる。
 投資効果が表れるまでには、時間がかかる側面はあろう。ただ、各ファンドが個別の案件ごとには、投資実績を公表していないことは問題が大きい。
 狙った政策効果をどれだけ発揮したか。投資資金を回収できる水準まで事業価値が上がらなかったのはなぜなのか。こうした基本的な検証さえ、ままならない。
 官民ファンドの立て直しには、一件一件の投資手法や損益を詳細に開示することが不可欠と言えよう。厳しい外部の評価にさらされる中で、問題点を洗い出し、次の投資に役立てるべきである。
 投資先の吟味も大切だ。ファンドに与えられた資金枠は、政府の打ち出す経済対策の事業規模を大きく見せるため、意図的に積み上げられた面は否定できまい。
 事業件数や、投資額の目標達成を優先するあまり、将来性が乏しい案件に安易に手を付けることは避けなければならない。
 投資先の事業を順調に育てるには、資金の出し手であるファンドが主体性を持って、経営戦略の立案に関わることが重要だ。
 ファンドの投資分野は、農業やベンチャービジネス、情報技術(IT)など多岐にわたる。
 所管官庁の官僚の天下り先にする発想は捨てて、専門分野に精通した人材を幅広く集め、育成することが欠かせない。

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