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【高知新聞】 【大震災6年半】復興の停滞は許されない

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 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から6年半がたった。
 当初約47万人に上った避難者は、8月時点で約8万7千人に減った。鉄道の復旧や商店街、地場産業の復活といった明るいニュースも増えてきた。
 だが、岩手、宮城、福島の被災3県では、いまも計約2万人が仮設住宅での生活を余儀なくされている。第1原発の周辺自治体も、避難解除は進んでいるものの住民の帰還は、思うように進んでいない。
 こうした厳しい現実から目をそらすことはできない。
 復興庁によれば、生活再建の足掛かりとなる災害公営住宅の建設や、高台への民間宅地造成は来年度までにおおむね完了するという。7月末現在で、災害公営住宅は計画戸数の86・7%が完成し、民間宅地造成も73・3%に達している。
 これも6年半がたった数値であることを重く受け止める必要がある。当初の計画より遅れが目立つ。
 避難生活が長くなるにつれ、帰還や自宅再建を諦める人も多くなり、それがまちづくり計画の見直しや工事の遅れにもつながる悪循環をもたらしている。
 特に子どものいる世帯は、避難生活が長引けば長引くほど、避難先で仕事や学校などの生活基盤が出来上がってしまう。郷里に愛着があっても帰還が難しくなる。
 復興が遅々としている状況は予算の執行状況を見ても明らかだ。2016年度の国の復興予算は36%に当たる1兆6700億円余りが、年度内に使われずに残った。
 工事の人手不足を指摘する声も少なくない。建設技術者は全国的に不足しており、特に首都圏は、20年の東京五輪・パラリンピックに向け需要が増している。復興の人材が奪われることも懸念される。
 五輪・パラリンピックの開催は、大震災から2年半後に決まった。政府や東京都などは復興を推し進め、復興をアピールする機会にする「復興五輪」を掲げている。
 方向性は否定しないが、準備を優先するあまり、復興の足かせになるようでは本末転倒だ。行政と業界の冷静な検証や対策を求めたい。
 被災者には高齢者が多く、仕事を失った人も少なくない。仮設住宅から災害公営住宅に移ることができたとしても、生活は厳しい。
 国は18年度から、災害公営住宅の家賃補助を段階的に縮小する。家賃の値上げが必至の状況で、入居世帯の約7割に当たる1万6千世帯超に影響する恐れがあるという。
 3県は国に見直しを求めている。被災者に自立を促すことは大切だとしても、いまがそのタイミングだろうか。最悪の場合、生活再建や復興のブレーキにもなりかねない。
 安倍首相は5月、被災地を訪れ、「被災地の皆さまの心に寄り添っていく」「東北の復興なくして日本の再生はない」と改めて誓った。
 復興にこれ以上の停滞は許されない。有言実行を求める。

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