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【熊本日日新聞】 空き家対策 実情に即した制度設計を

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 過疎化、少子高齢化が進む中、全国で空き家問題が深刻化している。放置された空き家は倒壊の恐れがあり、不法投棄や犯罪の温床にもなりかねない。国と自治体が連携して対策を強化したい。
 8月には空き家対策に取り組む自治体でつくる「全国空き家対策推進協議会」も発足し、専門家と連携して国に政策提言することや、先進的な取り組み事例を共有して各地の対策に生かすことを確認した。協議会の設置は、自治体に広がる危機感の表れだろう。
 総務省が5年に1度実施する調査によれば、全国の空き家は約820万戸。国土交通省がこれらを無作為抽出して実態を調べたところ、人が住まなくなって5年以上経過しているものが36・4%。建築時期が1980年以前(旧耐震基準時代)のものは62・3%あったという。
 国は空き家の除去や修繕を進めるため、空き家対策特別措置法を2015年5月全面施行した。改善されない場合は勧告や命令を出し、従わないときは行政代執行も可能にした。しかし、撤去など行政による強制措置は費用を回収できないことも多く、自治体の対策は思うように進んでいない。
 行政の取り組みと同時に、所有者にまずしっかりと管理するよう仕向けることも大事だ。
 16年度の税制改正で、相続した空き家などを撤去した後の土地を19年末までに譲渡した場合、譲渡所得から最高3千万円を特別控除できるようになった。ただ、譲渡は「相続から3年が経過する年の12月31日まで」との期限付きとなっている。
 地方の土地需要は先細りしている上、市街化調整区域内の建物を解体・撤去した場合、新たな建築が制約されるケースもある。譲渡のハードルは高い。こうした事情もあって、土地・建物を相続しても登記しないケースや相続そのものを放棄する例が増えている。
 売却や賃貸が進まなければ、空き家化するリスクは高い。制約をなるべく少なくするなど、行政のさらなる措置が求められている。
 空き家の撤去とともに、再活用に向けた施策も推し進めていく必要がある。
 国交省は、高齢者や所得の低い子育て世帯向け賃貸住宅として空き家・空き室を登録し、情報提供する制度を創設した。今秋から運用される。高齢者や所得の低い人は家賃滞納などの心配から入居を断られる例が少なくなかった。このため入居を拒否しないことを条件に、登録住宅の耐震改修やバリアフリー化の費用などを助成、低所得世帯の家賃を補助する仕組みも設けた。周知を図れるかが鍵となろう。
 国が自治体に呼び掛けている空き家対策計画の策定を済ませた市町村は、3月末時点で全体の21%にとどまっている。取り組みもまだ濃淡があるのが現状だ。
 地方創生の観点からも、空き家対策は急務だ。地域の実情に即し、撤去や再利用が進むような制度設計に知恵を絞りたい。

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