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【秋田魁新報】 加計獣医学部保留 特区の公平性、検証必要

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 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設について、文部科学省の大学設置・学校法人審議会は、8月下旬の答申で新設可否の判断を保留した。
 設置審は審査内容などを明らかにしていないが、大学設置基準に照らし、教育環境が整っていないと指摘されたことになる。文科省大学設置室によると、加計学園が不備な部分を修正して申請し直し、設置審が再び審査する。次の答申のタイミングは10月下旬という。可否判断は修正内容次第であり、学園が目指す来年4月に開設できるかはまだ不透明な状況だ。
 国家戦略特区制度を利用した加計学園の獣医学部新設計画を巡っては、文科省から「総理のご意向」と記された文書が見つかるなど、計画推進に安倍首相や官邸が関与したのではないか、そもそも「加計学園ありき」の規制緩和だったのではないかとの疑惑が指摘されている。
 特区制度による獣医学部新設については、2015年6月の閣議決定で(1)既存の獣医師養成ではない構想が具体化(2)ライフサイエンス(生命科学)など獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになる(3)既存の大学、学部では対応困難(4)獣医師の需要動向を考慮しつつ全国的見地から検討―の四つの条件が課された。
 だが、加計学園の新設計画がこの4条件をクリアしているかどうかについての見方は真っ二つに分かれる。前川喜平・前文科事務次官は「(条件に)合致するか十分な議論がされていない」と指摘する。特区担当だった山本幸三・前地方創生担当相は計画は4条件をクリアしていると断言したものの、「具体的な需要を完璧に描ける人はいない」などとしてクリアの根拠は示していない。
 同室によると、設置審が審査するのは教員数や教育課程、施設や設備などが大学設置基準に適合するかどうかであり、4条件を満たしているかを審査するわけではない。だとすれば、設置審が可否判断をする前に、加計学園の計画が本当に4条件をクリアするものなのか明確にする必要がある。
 4条件を満たしていないとすれば、特区制度が恣意(しい)的に運用された、首相と親しい人が優遇されたということであり、前川氏は「改めて特区諮問会議で検証すべきだ」と指摘する。
 加計学園問題を巡っては、国会での集中審議や閉会中審査が行われたが、疑惑は一向に晴れていない。今月2、3日に共同通信社が行った世論調査では、77・8%が政府の説明に納得できないと回答した。前回7月の調査と同じ水準で、国民の不信が根強いことを示している。
 行政の公平性、公正性を疑わせる重大な問題であり、政府は第三者機関の設立を含め、新設計画を巡る対応の経緯や妥当性を早急に検証すべきだ。

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