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【岩手日報】 核配備論 「北」の土俵ではないか

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 米軍核兵器の日本国内配備の是非を議論するべきではないか—。北朝鮮の核実験強行を受け、自民党内で強硬論が顕在化している。
 口火を切ったのは石破茂元幹事長。先週のテレビ番組で「米国の傘で守ってもらうと言いながら、日本国内に置かないというのは議論として本当に正しいのか」と述べた。
 韓国でも、1991年に在韓米軍から撤去された戦術核兵器の再配備や独自の核武装を望む声があるという。同じく米国の「核の傘」の下にある日本も、検討する必要がある—というわけだ。
 菅義偉官房長官は非核三原則の堅持を言いつつ「北朝鮮の挑発が拡大する中、党内で議論されるのは自然なことではないか」と情勢変化を示唆した。だが、こうした流れは北朝鮮の土俵ではないのか。
 核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」とする非核三原則は、唯一の戦争被爆国である日本の「国是」とされてきたが、国会決議にとどまり法的拘束力はない。
 石破氏は、「核の傘」に守られながら持ち込みを拒否する国是の矛盾を指摘するのだろう。では、それで北朝鮮の核保有を否定できるか。その面の「矛盾」は増幅する。
 北朝鮮の6回目の核実験に貢献した科学者らのための宴会で、金正恩氏は「自衛的な核抑止力を強化するための科学研究をさらに意欲的に進める」よう指示したという。
 核開発で国際社会を脅かす企てを「抑止力」と言う。北朝鮮の暴挙は「核には核で」という核抑止論の限界を国際社会に突き付ける。
 国連で今年7月に採択された核兵器禁止条約に、核保有国と、米国の「傘」に頼る日本は交渉不参加。北朝鮮も同じく不参加だった。
 核を持つ米英仏が「国際的な安全保障環境の現実を無視している」と、そろって条約を批判したのは北朝鮮の「論理」を励まさないか。
 やはり米国の「傘」に入るオランダは、北大西洋条約機構(NATO)諸国の中で唯一、同条約の交渉に参加。最後まで自説を主張し、賛否を問う投票でも唯一反対票を投じた。日本の不参加には、どんな主張があるのだろう。
 「核の傘」を差し出す米国が非核三原則の「矛盾」に配慮してきた背景に、戦争被爆国である日本の特殊性があるのは想像に難くない。三原則は、日米同盟に基づく安全保障の現実の中で、戦後日本がギリギリ絞り出した「非核」の訴えに他ならない。
 オランダほどの「確信」もないままに核持ち込みを含む軍備増強論に走るより、半島情勢が緊迫化する今こそ被爆国としての立ち位置を踏み固めることが、国際社会で存在感を高める道ではないか。
 

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