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【京都新聞】 日本人初9秒台  五輪決勝につなげたい

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 いまだに、興奮の冷める気配がない。
 陸上男子100メートルを、日本人初の9秒台で走った桐生祥秀選手の快挙に対してである。
 9日に行われた日本学生対校選手権の決勝で、9秒98を出した。もちろん日本新記録だ。
 桐生選手は、彦根市出身。彦根市立南中で競技を始め、京都の洛南高で飛躍した。京都、滋賀の人たちにとっては、地元から出たヒーローである。誇りに思いたい。
 とはいえ9秒台は、日本陸上界のすべての人が、夢見てきた記録だ。国民全員で、喜びを分かち合うべきなのだろう。
 日本人の9秒台への挑戦は、戦前にさかのぼる。
 1932年のロサンゼルス五輪で6位に入り、「暁の超特急」と呼ばれた吉岡隆徳選手は、35年に手動計時ながら当時世界タイの10秒3を出した。
 10秒を割るのも、夢ではない。時間の問題だ、と思われたのではないか。
 ところが、64年に飯島秀雄選手が同じ手動で10秒1、電気計時では98年に伊東浩司選手が10秒00を記録したものの、10秒の壁は乗り越えられなかった。
 桐生選手の快挙までに、世紀をまたいだ悲願が、積もりに積もっていたといえる。
 一方、世界記録は、米国のジム・ハインズ選手が68年に人類初の9秒台となる9秒95を記録してから、ジャマイカのウサイン・ボルト選手が2009年に出した9秒58まで伸びている。
 電気計時で10秒を切った選手は史上120人余りいるが、米国、ジャマイカでほぼ半数を占め、ほとんどがアフリカにルーツを持つ選手である。
 こうしたことから、体格などの面で日本人に9秒台達成は難しい、とする意見もあった。
 それだけに、日本人初となる今回の記録は意義深い。長年のコンプレックスをはねのけるバネとしたい。
 男子100メートルは、「9秒台に入って初めて世界を語れる」とされる。日本は、桐生選手を先頭に、ようやくスタートの位置についたところだ。
 山県亮太、サニブラウン・ハキーム、多田修平、ケンブリッジ飛鳥、飯塚翔太の各選手らも、9秒台を目前にしている。こうしたライバルたちと競い合い、桐生選手がさらに記録を伸ばして東京五輪でファイナリストを務めることが、次の夢となりそうだ。

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