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【富山新聞】 北朝鮮制裁決議 分裂避け迅速な採択優先

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 国連安全保障理事会が、北朝鮮への原油と石油精製品の輸出に上限を設ける新たな制裁決議を採択した。米国がめざした全面禁輸という「最強の制裁」は実現できず、拍子抜けの感を禁じ得ない。が、中国、ロシアの拒否権発動で決議を採択できなければ元も子もなく、安保理の分裂は北朝鮮を喜ばせるだけである。米国としては、国際社会の一致した決意を速やかに示すため、制裁決議のスピード採択を優先したということであろう。
 北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するには、金正恩政権を支える資金とエネルギーを断つ必要がある。とりわけ、朝鮮人民軍の生命線である中国からの原油供給を止めることが最大の鍵であり、米国が当初、北朝鮮に対する全面的な「断油」をめざしたのは当然といえる。
 そうした米国の制裁決議案は、中ロの反対で大幅譲歩を余儀なくされたが、石油の輸出制限に踏み込んだ意義は大きい。原油は現状維持ながら、ガソリン、軽油などの石油精製品は年間約200万バレルの上限が設けられ、北朝鮮への輸出量は現在の半分以下になる見込みという。原油供給の継続は、次の一手を残したとも言える。
 北朝鮮の外貨獲得を遮断するため、石炭や海産物に続き、繊維製品を全面禁輸とした措置も北朝鮮に打撃を与えよう。韓国の貿易投資振興公社によると、繊維製品は北朝鮮の残り少ない外貨収入源で、昨年の輸出額は7億5200万ドル(約821億円)という。
 北朝鮮産品の禁輸効果について菅義偉官房長官は、今回の決議と過去の決議を完全に履行すれば、輸出による北朝鮮の外貨収入を約90%削減できると説明している。安保理の度重なる制裁決議にかかわらず、北朝鮮は核実験とミサイル発射を繰り返してきたが、経済封鎖による外貨収入の減少は、確実に金政権を追い込む効果があるはずである。
 国際社会から孤立して国の将来がないことを金政権に思い知らせるため、中ロ両国はもとより国連加盟国すべてが決議の履行、継続を徹底しなければなるまい。

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