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【読売新聞】 対「北」制裁決議 スピード採択で包囲網狭めた

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 北朝鮮の核ミサイルの脅威増大に関する国際社会の強い危機感と結束が示されたと言えよう。新たな制裁を徹底して実行せねばならない。
 核実験を強行した北朝鮮に対して、国連安全保障理事会が追加制裁決議を全会一致で採択した。圧力強化に消極的な中国とロシアも賛成した。
 実験後1週間余りでの決着は異例だ。米国は、厳しい内容を盛り込んだ決議案を即座に作成し、採決日の宣言までしていた。中国と事前に草案のすり合わせを行わず、強気の姿勢で譲歩を迫る手法が功を奏したのではないか。
 注目すべきは、決議が初めて北朝鮮への石油輸出制限に踏み込んだことだ。原油は過去1年分の輸出実績を超えてはならないとした。ガソリンなどの石油精製品の輸出量には上限を設けた。総計で現行の3割減と試算される。
 米国は草案で原油や石油精製品の全面禁輸をうたったが、中露に配慮して後退させた。それでも、北朝鮮が軍事的挑発を続けた場合に、石油関連の制裁を強化する足がかりを築いた意義は大きい。
 北朝鮮の数少ない外貨獲得手段である繊維製品の輸出も、全面的に禁止された。既に制裁対象となっている石炭、鉄鉱石、海産物と合わせると、北朝鮮は合法的な輸出収入の9割を失うという。
 国外で外貨を稼ぐ北朝鮮労働者については、各国での就労許可の新規付与や更新が禁じられた。
 一連の措置は、厳格に履行されれば、北朝鮮の核ミサイル開発資金や燃料などの調達を困難にし、金正恩政権への打撃となろう。
 安倍首相は「これまでにない高いレベルの圧力をかけ、政策を変えさせることが大切だ」と語った。関係国は、制裁体制の抜け穴を塞ぎ、包囲網を狭めるべきだ。
 メキシコやペルーは、北朝鮮大使に国外退去を求めた。フィリピンは、貿易停止の方針を発表した。核実験などの愚挙は国際的孤立を招く、というメッセージが具体化しているのは評価できる。
 北朝鮮の最大の後ろ盾である中国の責任は、一層重くなった。
 中国が近年、北朝鮮との間のパイプラインによる原油供給について、統計を公表しなくなったのは問題だ。制裁の実効性を高めるには、中朝間の取引を透明にする取り組みが欠かせまい。
 北朝鮮は、安保理が追加制裁を決議した場合、「米国に相応の代価を支払わせる」と警告している。新たな弾道ミサイル発射などに対する警戒が必要である。

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