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【読売新聞】 人生100年会議 新時代の課題解決に資するか

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 例のない長寿社会を迎えるという。従来の教育や雇用の仕組みが通用しなくなるリスクに、どう備えるべきだろうか。
 政府の新たな看板政策「人づくり革命」の具体策を話し合う「人生100年時代構想会議」が発足した。
 安倍首相が議長を務める。有識者議員には、人生100年時代を提唱するリンダ・グラットン英ロンドンビジネススクール教授らが招かれた。初会合でグラットン氏は、人生設計の根本的な見直しが求められていると主張した。
 「教育―仕事―引退」という三つのステージを順に経験する単線型の人生から、柔軟に変化する複線型に変わるのだという。
 会議では、開かれた教育や学び直しの機会、高齢者雇用、子育て世代を意識した社会保障改革などを検討していくことを決めた。
 深く根付いた社会制度の変更は容易ではない。手をつけるからには、長期的な問題意識を忘れず、腰を据えて取り組むべきだ。
 当面の焦点は、幼児教育・保育の無償化だ。年1兆1700億円が必要とされる財源をどうやって確保するかが課題となる。
 与党では、公的年金の保険料に上乗せして徴収する「こども保険」構想が浮上している。
 現役世代の負担が一層重くなる。年金保険料の雇用者負担が増える中小企業の経営も圧迫される。こうした影響を、きめ細かく検討せねばなるまい。
 不意のリスクに備えるためにある保険の仕組みを、子育てに転用する手法には疑問も残る。
 そもそも待機児童の解消など、少子化対策が総合的に進まなければ無償化の効果は限定的だ。
 政策の意義を冷静に分析し、堅実に進める姿勢が欠かせない。
 先進国の中でも家計の負担割合が大きい大学教育については、首相が会議で「志があっても恵まれない若者が勉学に専念できる環境整備が必要だ」と強調した。
 返済のいらない給付型奨学金の拡充に加え、豪州に倣った「出世払い方式」が検討される。
 この方式では、学費の国費補助を受けた学生が、社会人になってから収入に応じて返済する。
 返済の減免は国庫負担に直結する。高卒で働く人との公平性にも配慮が求められる。
 会議では、生涯教育の充実や、新卒に偏らない人材採用といった中長期的な課題も控える。「働き方改革」など既存の政策との重複を避けつつ、次代に有益な種を蒔(ま)く成果が期待される。

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