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【信濃毎日新聞】 北朝鮮制裁 武力衝突回避を第一に

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 北朝鮮が6回目の核実験を強行したことに対し、国連安全保障理事会が制裁決議を全会一致で採択した。
 石油精製品の供給や原油輸出に上限を設けることが柱で、北朝鮮にとって命綱といえる石油の規制に初めて踏み込んだ。重要な外貨獲得源である新たな出稼ぎ労働者の就労や繊維製品の輸出も禁じた。
 核実験から1週間余りという異例の早さで採択にこぎ着けた。北朝鮮の瀬戸際戦術は、一歩間違えば武力衝突につながりかねない。その危うさが、各国の間で広く共有されるようになった結果とも言えるのではないか。
 安保理決議を無視して核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対し、国際社会が結束できた意味は重い。圧力と対話のバランスを慎重に考慮しながら、金正恩政権の無謀な軍事挑発を全力で止めなくてはならない。
 こんどの安保理決議交渉は、米国が主導した。全理事国に配った原案には原油の全面禁輸のほか、金正恩氏の制裁リストへの追加など、かつてない強力な制裁項目が並んでいた。
 これらは最終案で見送られた。米国が対話重視の中国に譲歩したとされる。米は今回の制裁強化で原油と石油精製品を合わせた供給量は約30%減り、北朝鮮からの輸出の90%以上が禁止対象になったとの見方を示した。
 原油の全面禁輸は極めて危険な制裁措置だ。太平洋戦争前、米国が日本に科し、日本が開戦に踏み切るきっかけの一つになったと言われる。今の北朝鮮も同様で、暴発を招く恐れがある。「最終手段」を取らなかったのは、現実的な判断と考えたい。
 一方、核兵器を国力の源泉と位置付ける北朝鮮に、制裁強化がどの程度効果があるかは相変わらず見通すことができない。中国は対話の重要性を国際社会に説き続けながら、実現のために本腰を入れているように見えない。
 中国同様、制裁強化に慎重な姿勢を保つロシアもそうだ。ウクライナ危機などで米国と対立してきた関係から北朝鮮情勢を傍観しているふしがある。
 北朝鮮は安保理内のこうした不協和音を見逃さないだろう。安保理は武力衝突を防ぐことを第一に考え、行動すべきだ。
 スイスが外交交渉の仲介役を名乗り出るなど、対話を模索する動きが出てきた。米朝が接触できる国際会議もある。さまざまな外交チャンネルを駆使し、軍事的緊張を緩和したい。 (9月13日)

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