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【京都新聞】 養育費不払い  約束守らせる法案急げ

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 法相の諮問機関である法制審議会の民事執行法部会が、離婚に伴う子どもの引き渡し手続きを明確化する中間試案をまとめた。
 一方の親への引き渡しを命じる裁判所の決定を片方の親が無視した場合、原則として金銭を支払わせることで履行を促し、応じないときは裁判所の執行官が子どもを強制的に引き渡すことが可能になる。
 法の不備から、子ども引き渡しの強制執行の手続きがなく、動産の条文を準用している。親が子どもの引き渡し判決に応じず、強制執行に至るケースは多くないというが、子どもを物と同様に扱う現行の運用では、子どもの幸せを実現できない。
 福祉という観点からは課題は多く、子どもの将来を左右しかねない養育費の不払いも深刻だ。
 厚生労働省の調査では、父親から養育費を受け取っている母子家庭は約2割にすぎないという。その一方で、子どもを持つ若年者同士の離婚も減りそうにない。今後も離婚をめぐる訴訟は増えるとみられる。
 早急なルールの整備は当然であり、当事者に約束を守らせ、財産隠しを許さない法的な枠組みは必要だ。
 法務省は今月中にパブリックコメント(意見公募)を募り、法制審の答申を得て、来年の国会に民事執行法改正法案を提出する。政府は法案づくりを急いでもらいたい。
 試案では、直接的な強制執行の前に、判決に応じるまで金銭を支払わせるという「間接強制」の規定を設けた。執行官は、説得を続けることを求められ、子どもの所在を確認するために、親の住居への立ち入りや捜索ができ、必要なら鍵を開けられる。本人が抵抗すれば、警察の助けを求めることもできるようになる。
 引き渡しは双方の親が立ち会わないとできないとしている。強制的な引き渡しは、どんな形であれ、子どもに傷を残すことを念頭に、さらに詰めが必要だ。
 養育費や賠償金の不払いを解消することを狙いに裁判所が債務者の預貯金口座や勤務先を関係機関に照会できる制度も設ける。財産の差し押さえを行う制度も新設する。
 厳しい経済環境に置かれた子どもの進学は難しい。社会的な貧困の再生産を防ぐためにも、適正な養育費は支給されるべきだ。
 場合によっては、国が支払えない親に代わって養育費を仮払いする制度の是非についても議論をしてほしい。

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