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【富山新聞】 ロヒンギャ問題 スー・チー氏は指導力を

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 ミャンマーの少数民族ロヒンギャが迫害されている問題に国際的な批判が高まり、国連人権理事会で集中討議が行われている。2015年に軍政から民主政府へ移行したミャンマーは、アジアの「最後のフロンティア」として脚光を浴びているが、少数民族の武装集団と治安機関の衝突や人権批判がいつまでも続けば、投資に値する民主国家としての評価も傷つこう。
 ミャンマー政府が設置した諮問委員会(委員長・アナン元国連事務総長)は先ごろ、市民権や移動の自由などをロヒンギャに認めるよう勧告した。ミャンマーを率いるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相には、多様な民族が共生する民主国家づくりへ指導力を発揮するよう望みたい。
 ミャンマーは細かく分類すると100以上の民族で構成される多民族国家である。最も多いのはビルマ族で、宗教は仏教徒が約9割を占める。イスラム教徒のロヒンギャは、政府に自国民族と認められておらず、長く差別に苦しめられてきた。先月下旬にロヒンギャの武装集団が警察や国軍の施設を襲撃し、武力衝突が激化したことに伴って、隣国のバングラデシュに逃れるロヒンギャ難民が急激に増え、国連機関によると、その数は31万人を超える。
 ミャンマー政府は、ロヒンギャの武装集団を「テロリスト」とみて掃討に力を入れている。武装集団の中核組織は、過激派組織「イスラム国」(IS)との関係も取りざたされている。
 これに対して国連などは、ミャンマー国軍がロヒンギャ住民の殺害に組織的に加担したと非難している。11日に開会した人権理事会で、ゼイド人権高等弁務官は「典型的な民族浄化の様相を呈している」と述べ、軍事作戦の停止をミャンマー政府に求めた。
 問題解決に積極的と見えないスー・チー氏は、同じノーベル平和賞受賞者らから批判、落胆の声を浴びている。支持者の仏教徒や、議会になお影響力を持つ国軍の協力がなければ国政を運営できない現実はあるが、民族融和の道を開く先導者であってほしい。

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