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【茨城新聞】 自民党の改憲論議再開 強引に集約を進めるな

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安倍晋三首相(自民党総裁)が提起した2020年までの改正憲法の施行に向け、自民党の憲法改正推進本部が約1カ月ぶりに議論を再開した。
保岡興治本部長は憲法9条に関して、10月にも開く推進本部の全体会合で、議論のたたき台となる条文案を提示する考えを表明。首相が提唱した、戦争放棄の9条1項と戦力不保持の2項を維持したまま自衛隊の存在を憲法に明記するという「加憲案」に沿った内容になるとみられる。
ただ全体会合では、2項を削除すべきだとの意見が出され、議論が集約に向かっているとはとても言い難い。党内がまとまらない改憲案で、国会の憲法審査会で幅広い各党の同意を得られるのか。さらには、その先にある国民投票で国民の理解が得られるのか疑問だ。強引な意見集約は認められない。
そもそも自民党の議論は、改憲を前提に、条文をどう変えるかという点に集中している。自民党も堅持するとしている「平和主義」の基本理念を具体化する安全保障政策を描き、自衛隊の活動や国際貢献への関与はどうあるべきかという根本の議論は置き去りにされたままだ。
理念に基づいた安保政策を踏まえて改憲の必要性を検討する、骨太の論議を求めたい。
首相は内閣支持率の急落を受け、8月の内閣改造の際に、政権運営に謙虚に取り組む姿勢を強調した。改憲論議も「スケジュールありきではない」と表明。9月召集予定の臨時国会に自民党の改憲案を提示するという当初目指した日程には固執しない考えを示し、党に議論を任せるとした。
だが基本的な姿勢は変わっていないようだ。高村正彦副総裁は、9条改正案について臨時国会に条文案の形で提示するのが望ましいと表明。保岡氏も、9条を含めた改憲案を臨時国会に提示することを視野に入れて、党内調整を本格化させる考えを示した。
衆参両院で「改憲勢力」が国会発議に必要な「3分の2以上」の議席を占める現状を好機と捉え、来年の通常国会での発議を目指す方針は変えないのが本音だろう。強引な日程を押し付けないという「謙虚さ」はどこへ行ったのか。
自民党の推進本部は9条のほか教育無償化、緊急事態条項の新設、参院選の「合区」解消の4項目に絞り、8月初めまでに議論を一巡させた。ただ論点は多岐にわたり、議論はまとまっていない。
再開した全体会合は9条を巡る2回目の議論だったが、見解の対立は鮮明になったと言えよう。
加憲案を支持する議員は「公明党が主張していた案であり、現実的だ」と強調する。これに対して、2項を改正し、戦力の不保持や交戦権否定を削除した2012年の党改憲草案を尊重すべきだとの主張も根強い。
このため両論を併記して示し、公明党との与党協議を先行させるよう求める意見も出た。しかし党内の議論を棚上げする両論併記は責任ある政党の姿勢とは言えまい。加憲案支持の議員の中には「段階論」を唱える声もあった。まず2項維持の加憲案を通し、将来的にその削除を目指すというものだ。やはり2項維持では不十分だという認識だろう。それならば真正面から2項削除を主張すべきではないか。国民の目先を惑わす姑息(こそく)な手法は受け入れられない。

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