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【中日新聞】 年金の支給漏れ またか、この思いだけだ

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 年金支給のミスが明らかとなった。またか、と痛切にそう思わざるを得ない。さまざまなミスが出るたび、制度や組織を見直してきたはずだが、制度への国民の不安は和らぐどころか増すばかりだ。
 ミスは幾たび繰り返されるのか。底の知れない不安が募る。
 年金支給を担う日本年金機構(旧社会保険庁)の不祥事は枚挙にいとまがない。
 二〇〇七年に五千万件もの年金記録の所有者が不明となった「宙に浮いた年金記録」問題が発覚した。多くの人に本来受け取れる年金の支給ができていなかった。年金記録が適切に管理されていなかったためだ。一〇年に組織を機構に改編し出直しを図ったはずだ。だが、一五年には、機構が不正アクセスを受け約百二十五万件の個人情報などが流出した。
 今回判明したミスは一九九一年以降、受け取れる年金が支給されていなかった。例えば、年金を受け取る夫に妻や子があると一定の加算があるが、妻が六十五歳となり自身の年金を受け取り始める時に、夫に代わり妻の年金に加算される制度がある。この加算がされていなかった。
 判明した未支給の人は全体で十万人を超える。未支給額は計約六百億円になる。最も未支給額の多い人は約五百九十万円だ。受け取らずに亡くなった人もいる。
 なぜ、このような事態が生じたのか。今回、支給漏れのあった人は主に夫が公務員らが加入する共済年金だった妻だ。共済年金の記録を管理する各共済組合と、厚生年金を管理し妻へ加算分を支払う機構との情報共有が不十分だった。厚生労働省は、一五年に厚生年金と共済年金が一元化されたことで、情報共有が進み今回の総点検で分かったと言うが、他に不備はないのか。一元化後も共済組合は機構とは別組織のままだ。今後は組織の統合も検討課題だろう。
 厚労省と機構は、機構が直接、共済年金の情報を確認することや、妻の受給要件の確認の徹底を決めた。「ミスは必ず出る」との前提に立つことが不可欠だ。
 機構の不祥事の大半は情報管理に関するものだ。適切な管理がなくては、正しい年金支給につながらない。機構は情報管理の在り方の見直しに取り組んでいるが、再考が必要だろう。
 厚労省が支給漏れを報告した十三日の審議会で機構は「しっかりと再発防止に努めたい」と述べたが、制度への信頼をどう取り戻すのか、行動で示してほしい。  

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