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【高知新聞】 【人づくり革命】安倍政権の本気度を問う

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 安倍政権の新たな政策「人づくり革命」が具体化に向けた論議に入った。有識者らによる「人生100年時代構想会議」が初会合を開いた。
 人生100年の長寿社会を迎え、誰もが年齢や境遇に関係なく望む教育を受けられ、新たなチャレンジができる社会づくりを目指す。その実現へ、教育や就職の新たな制度を構想するという。
 柱になるのが教育の無償化だ。政府はこれにより、高齢者中心だった社会保障を全世代型に改革するともアピールしている。
 国民の関心は高く、方向性そのものに異論は少ないだろう。だが、無償化が浮上してきた経緯や財政面などから、政権の姿勢に疑問も向けざるを得ない。
 特に財源のめどが立っていない。財源がなければ、絵に描いたもちに等しい。政権の本気度が問われる政策となりそうだ。
 初会合で安倍首相は、人づくり革命を「安倍内閣が目指す1億総活躍社会をつくり上げる上での本丸だ」と強調した。1億総活躍社会の実現に必然的なテーマであるかのように聞こえる。
 首相が教育無償化を明確に打ち出したのは、ことし5月のことだ。憲法改正を訴える会合に寄せたビデオメッセージで、9条への自衛隊明記とともに改憲の項目に挙げた。
 改憲を実現するために国民受けの良い政策をセットにしたと受け取られて当然だろう。「1億総活躍社会の本丸」という主張は後付けの感が拭えない。
 財源確保は容易ではない。幼児教育・保育だけでなく、大学など高等教育も無償化の対象に含めれば年約4兆円の追加財源が必要という。
 企業と従業員が保険料を負担する「こども保険」の創設案や教育に限定した国債の発行、大学などの授業料を政府が肩代わりし、卒業後に返還する「出世払い」方式なども浮上している。今後の大きな焦点になりそうだ。
 気になるのは安倍政権の看板政策の完成度だ。
 これまで1億総活躍はもちろん、地方創生、働き方改革などを相次いで発表してきた。有識者会議も乱立状態だが、成果も論議の過程も見えにくい。
 無償化は、国民の負担増が避けられない政策だ。慎重に議論し、国民の理解を得ていく必要がある。中途半端な制度設計や、安易な借金依存の財源確保策は許されない。
 まして改憲や選挙の道具にすることがあってはならない。
 自民党は来月にも党改憲案を国会に示す構えを見せている。来年末までには総選挙もある。こうした状況に、党内からは「財源論で負担増に踏み込むより、聞こえの良い政策を示せればいいという雰囲気もある」との声が聞こえる。
 
 構想会議は年内に中間報告、来年6月をめどに最終報告を取りまとめる方針だ。国民の目に見える議論が求められる。

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