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【信濃毎日新聞】 大北事件賠償 現地職員だけの責任か

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 現地職員だけが賠償責任を負い、本庁は不問。このような責任の取らせ方で県民の理解は得られるだろうか。
 大北森林組合の補助金不正受給事件で、阿部守一知事は県職員(退職者を含む)11人に最大で計8100万円の損害賠償を求める方針を決め、県監査委員に監査請求した。
 補助金交付に関わる県側の不正な事務処理に対し、国から制裁として3億5千万円余の加算金が科された。県は既に税金から支払った。この損失を人件費の削減で補うことにしていたが、監査委員から不正に関わった県職員への賠償請求の検討を求められた。
 11人はいずれも、森林整備の補助金交付を担った現地機関、北安曇地方事務所(当時)に在籍した課長以下の担当職員だ。交付のための書類のチェックを怠ったり、未施工の事業に対し現地調査をしなかったりしたことが地方自治法上の重大な過失か民法上の過失に当たるとされた。
 専門家3人による「法的課題検討委員会」の報告に沿った結論だ。現場に責任を押しつけているとの批判には答えていない。
 なぜ、現地職員は不正な事務処理をするようになったのか。県の検証委員会が2年前にまとめた報告書は大意、こう記す。
 本庁林務部は、地域の事業体や地事所の能力を十分考慮せずに間伐目標面積を配分していた。2007年度の末になって予算の追加執行を北安地事所に依頼。プレッシャーを感じた地事所の担当課長は未着手の事業でも補助金申請を認めるよう係員に指示した。これが引き継がれ、組合に不正申請の機会を与えた―。
 林務部が現地の実情を考慮して目標を設定し、過大な要求をしなければ事件は起きなかったともいえる。現地の執行状況の把握を怠り、組合の不正受給を長期化させる原因もつくっている。
 加えて、詐欺などの罪に問われた組合前専務理事に対する長野地裁判決(確定)はこう指摘する。地事所は林務部から「違法な手段を使っても予算を消化するよう迫られていた」。
 林務部の担当者や幹部の責任をどう考えるのか。会見で県は法的課題検討委の報告を引用するだけで自らの見解を示さなかった。質問を時間で打ち切ってもいる。
 監査委員は賠償の検討だけでなく、「丁寧な県民への説明」も求めている。県は1回しか県民説明会を開いていない。改めて説明の機会を設けることが、勧告に応える道である。 (9月14日)

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